超越者♡頑張ったらいけない奴ほど、見えている♡煽っているんだよ⭐︎ねぇ、♡♡さん!
「いやいやいや、専門用語で語るのやめて頂いて良いですか?」
竜は慌てて、虎時の唇に指を伸ばしたが、やんわり下げられた。
「竜ちゃん、あなたもシステムを学ぶには良い機会かと存じますが」
「虎時さんてば、誰だって虎時さん達みたいな専門家では無いのだから、ーーもっとわかりやすくお話してくれても良いんじゃない?」
「それならば、竜、あなた自身も俺たちに分かりやすく説明してもらいたいものやね!」
朱雀。
「いやいや、それこそ、朱雀さん達の方がよーーく分かっているんじゃないの?」
竜は困った。なぜなら、この私人の四神達が竜を連れ歩く道すがら、怪奇な出来事に出会って来た。
それが、竜にとっての奇抜で怪奇な戦いだって言うなら、そうかもしれないけれど。
虎時さんと出会うまで、それこそちょっとしたスピっている事はあったけれども。
「それとこれとは別の話だし……、私が私人の四神の皆様にお話し出来る事はないと思う」
麒麟が深いため息をついた。
「竜ちゃん、鎌倉幕府の有力御家人の畠山重忠を知っていますね」
麒麟の情のこもった声は、竜のモヤモヤした気持ちをも鎮める強さがある。
でも、ここで、荒ぶる竜が鎮まってしまっても困るのだ。
そんな場の雰囲気が、竜の返答を求める。
「うん、知ってるよ。虎時さんのご先祖さまの畠山重忠でしょ!」
虎時は玄武に目をやった。
玄武は首に巻いていた青大将を右手に巻きつけ、普段他人には見せない顔を青大将にむけている。
朱雀は、ひとりお猪口に注いだ酒を飲んでいるし、麒麟は自分から口火を切ったのにも関わらず、押し黙る。
仕方ないので、スマホポチポチ、虎時は小海町役場のHPからピックアップして、頭をカキカキ竜に向かって読み上げる。
「※ーー源頼朝の重臣であった畠山重忠公は、頼朝の命を受けて『竜の生』を探しに向かいました。ある夜、夢の中に現れた貴婦人からの神託によって、松原湖や猪名湖で『竜の生』を手に入れることができました。しかし、後にその竜が母親であったことを知り、福を施し寿命を延ばす『施福延寿』と、あらゆる災厄や苦悩を救うため、長湖の神光寺に五重塔を建立したと伝えられています……」
虎時がそこまで読み上げると、朱雀が扇で口元を隠しつつ竜を見つめ言った。
「ーー虎時のご先祖さまの中には、剣道のひとつの師範もいてその師は長野のお人やった。なんやと長野とご縁のあるところをみると……」
朱雀の言わんとしている事は、もしかしたら。
「何が言いたいのかな、朱雀さんはーー縁起とか、なんとか言いたいのかな。でもさ、虎時さんには長湖の神光寺に縁があったとしてもよ、私には何も無いわ」
「いや、どちらかと言えば、それは縁生、縁生とは仏語で『すべての存在が因縁によって生まれること』を意味するが、俺的には仮想マシーン説で説明した方が分かりやすいと思う。だが仏教的な表現でも、上手く言ったものだと思うぜ、俺は」
虎時が苦笑いする。
「そうやね。ーー宗教に全く興味のない虎時らしい言い方やけど、私も同意や」
朱雀の視線を感じた玄武さえも、こくりと頷いた。
「いやいや、そう言われても、何も分からないよ。みんな分かっているのにさ!」
「どうして……、どうして。竜ちゃんは説明してもわからないんだ?」
この事ばかりは、とでも言いたそうに、視線を逸らす虎時。
視線を向けられ麒麟もひとくち酒を飲む。
「青龍は越後、越国に居を据えていたわけだが、信濃の国もまんざらではないという事だ」
「ええ、どこら辺が?」
「信濃国と言えば、諏訪大社の武神タケミナカタが有名だが、その母はーー奴奈川姫。命がそちらへ向かうのだ」
「命が向かう、ーーええっと、青龍?」
毎度の事だが、多くの情報を一気に話されても理解に苦しむ。
竜がポカンと口を開けて、麒麟を見つめ、次の言葉を待つ。
「新たな、仲間ではないぞ。ーー青龍は君だ」
麒麟の瞳がきらりと光る。
「イヤ、だから……わからな」
そこまで、言いかけて、ハッとある事に気がついた竜。
エヴァン○リオンの○ゲンドウばりに、食卓に肘をつきいかにも神妙な面持ちで、
「虎時さんさ、私に帰りなさい。帰るのです。合体アクエリ○○!」
一同、寒い風が吹いた気がしたが、
「大まかな理解は出来たようですね」
はははと、麒麟が笑ってくれた。
「ーーそう、鎌倉時代初期の段階でも『それ』に気がついていたんだ」
虎時がブツブツ呟いた。
「僕らは、あいまみえた時には必ず『足跡』を残して行くものですから」
玄武が微笑んだ。
「しかし、何さね。鎌倉幕府の御家人、畠山重忠公ってーー虎時さん曰くだけれども、武功をことごとく他人に譲った、なんと言って良いのかーーしかも、源頼朝の下で働いていただなんて、ーーなんだか私、イライラしちゃうのさ!」
竜のどこからストレスとして湧いてくるのかわからない不定愁訴。。
源頼朝と聞くと、なんか、いや。
「まあ、ーー竜ちゃんが源頼朝を嫌がる気持ちはわかります」
「なぜ?」
竜にはサッパリ分からない。
「源頼朝に(^з^)-☆義を尽くしたのにも関わらず、周りの輩の謀反の讒言により殺されるハメになったのだから。どんなにそれを理解していたとしても余りある憤り(現代でも変わりませんね)……この許し難き、一人生があったせいでしょう。牧人として生をまっとう出来たらと。ーー思ってそうだが、どうですかな?」
麒麟が顎をなでつつ言った。
参考資料
※長野南佐久郡
弁天島と畠山重忠より