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2 やりたいことをやって欲しいの

 彼女と大喧嘩した、病気の関係もあってか、俺は面会謝絶を食らった。

やっぱり彼女に会いたいな、そう思った。


 学校に行った、色んな元部活仲間が絡んでくる流石に鬱陶しいと思った。

 学校帰りに病院には行かなくなった。どうせ断られるだけだしな、って思った。

 ゲーセンに行った、本屋に行った、フードコートに行ってアイスを食べた。

 やっぱり彼女に会いたいな、って思った。


 唯一やりたかった「彼女と会う」を制限された俺は何にもする気が起きなかった。

ゲームも飽きた、漫画を読むのも疲れた、試しに絵を描いてみたけど上手く行かなさ過ぎて辞めた。

この絵も彼女となら笑いの種にできたのにな、やっぱり彼女に会いたいと思った。


 最近はラジオを聞くのにハマっている、イヤホンをしてベットに寝っ転がってお悩み相談のコーナーを聞く、俺より深刻に悩んでるやつがいていい気味だと思った。彼女に会いたいなって思った


ラジオに飽きた、彼女に会いたいと思った。

 次の日

彼女に会いたいなって思った

 次の日

何がダメだったか考えた、彼女に会いたいなって思った

 次の日

どうすれば良いか考えた、彼女に会いたいなって思った

 次の日

何を伝えるべきか考えた、上手くまとまらなかった、それから彼女に会いたいなって思った

 次の日

もう、思うだけってのはやめよう



…行動に移した。せめて言葉にしよう、俺の五月病はもうおしまい




「君は…」

看護師の人に受付でお願いした。

「話したいんです、このままじゃ一生後悔する、どうかお願いします」


「でも……あ、先生」

顔を上げると、男の人が立ってた。


「樹君…だね、彼女に聞いてあげよう」


「ありがとうございます。」


 結構簡単に面会謝絶は解かれた。


ー病室前ー

ドアを開けた、やっぱり彼女が居た、まだちゃんと居た。なにを話そう、上手く話せる自信がないな。


「何しに来たの…?」


「話をしに…」


「なんの…?」


「何がダメだったか、考えた」


「……」


「俺がお前に構い過ぎたのが、ダメじゃないけどダメだったんだと思う…でも、でもさ聞いてくれ

言い訳にしか聞こえないだろうけど、俺さ自分のためにサッカーしているというより、お前のためにサッカーしてた。覚えてるか?小学校のころ、サッカーの子供クラブ的な所に俺が入ってて、中学上がって2年の頃かな試合で勝って、お前も応援に来てて俺が活躍してさ、お前が楽しそうに話すんだよ

俺がかっこよかった、凄かったって…それが嬉しくて、あれより嬉しかった事は今までもこれからも多分ないって思えるくらい……、そうだよ、俺はお前が好きだったんだ。」


「………知りたくなかったな」


「俺も言う気なかった。でもお前からも、もうだいぶ前だけど俺が好きって聞いちまったし俺が言わないのもな…って」


「そう……それで」


「次にどうすれば良いか考えた、俺やっぱりサッカーやるよ」


「…!」

彼女がはじめてこっちを見た、もうクマは無いけどだいぶ目元が赤かった、ずいぶん泣かせてしまったな

「なんで?」


「ちゃんと理由ならある、あのな由香 俺お前と会ってる時も面会謝絶で会えなくなった時も学校には

ちゃんと言ってたんだ、あいつらのおかげだよ。」


「あいつら?」


「今の部活仲間、今日も言われたよ、「戻って来い」って毎日毎日さ鬱陶しいくらい絡んで来てちょっとついてけない部分はあるけど、嬉しかった。お前のためだけじゃなくて今度はあいつらのためにサッカーやりたい」


「そっか…ちょっと寂しいけど嬉しい。」


「それで…最後に何を伝えるかだけど……まだそれを考えるのは早い気がする。後一年あるわけだし、だからこれからも話そう、面会は毎日は来れなくなるかもだけど、ちゃんと来るよ。それで…もし、大きめの大会とかさ、俺が活躍する機会があったら…………見に来てくれるか?」


しばらくの静寂、けど彼女は起き上がって、相変わらず足は動かないけど

 「それはきっと、楽しくて興奮しちゃうね。」

笑顔でそう言った。


これでおしまい

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