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1 なにもする気分じゃないの

 「樹あのね 私、後二年で死ぬんだって」

 とりあえず、笑いながらする話じゃないなと思った。

 「楽しい事とか興奮する事をしたら下半身が動かなくなって、次の年では完全に動かなくなる。

で楽しい事とか興奮する事をすると今度は首から下が動かなくなって次の年には頭ごと止まってちゃうの」

 僕の最愛の幼馴染、七尾由香が5月の初めに病気になった、治る見込みのない不治の病ってやつだ。

 「ひどいよねーまだやりたい事もあったのに、死ぬまでの期間ですら行動を制限されちゃうなんて」

 ベットの上で彼女はこう言った。

 「何かしようとしてもできなくなる。だからする気も起きなくなる、なにもする気分じゃないの………

これがホントの五月病ってね」

 クスクス笑う彼女を見て、やっぱり笑いながらする話じゃないなと思った。


 病院から帰宅して、玄関開けて親と適当にたわいのないやり取りをして自室のイスに腰かけた。

 「…マジか。」

 口から出たのはそんな意味のない言葉だった。正直かなりキツかった、だってこれから最愛の人が二年かけて死ぬってのに自分じゃ何もできない。

「なにもする気分じゃないな…」

 でも、とりあえずこれからもお見舞いにはちゃんと行こう、そう思いました。


 学校が終わって帰り支度をして教室を出た、友人に何か言われて何か返したけどよく覚えてない。

「とりあえず病院行こ」


 病室を開ければ相変わらずベットの上に君がいた、

 「あれ、今日も来たの?、それにしたって早くない?」


 「学校終わってすぐ来たからな、」


 「ふーん?ところでさ、五月病ってどういう病気か知ってる?」


 「なんだよ急に…五月の変わり目に色々めんどくさくなることを病気で言ってる的なやつだろ?」


 「そそ、樹さ部活サボったでしょ」

 言われて思い出した、ポケットがやたら振動すると思ったら部長からの鬼電だった。

 

 「出なくていいの?」

 とりあえず電源を切った。

 「別にいいかな」

 

 「おやー?樹君も五月病かなぁー?」

  

 「そうかもな」

 明日、部長と話すの怖いな、けど今は笑いながら話をしようと思った。


 部長とついでに顧問にしこたま怒られた、だから部活を辞めた。何を話したかは覚えていない

 「これも全部、五月病のせいだな」


 病室を開けるとやっぱり君がいた。今度はムスっとした顔をしていた。

 「部活は?」

 頬を膨らませて起こってる顔も可愛いなって思った。

 「辞めてきた」

 

 「なんで!?……私のせい?」


 「違う、五月病のせい」

 

 「やっぱり私のせいじゃん」

 

 「……違うからな」

 今日は楽しく話せないなと思った。


 同じ部活の奴に怒鳴られた、適当にかわしてたら掴みかかられた。こいつら元気すぎるだろ。

五月のテンションじゃない、ついていけないなと思った


 病室を開けたら君がいた、けどいつもと違った。目の下のクマが濃い明らかに寝てない


 「よ、よおどうしたんだよ」


 「………………」


 「寝てないのかー?、健康に悪いからすぐ寝ろよ?」


 「………………」


 「…わかった、なら少し外の空気を吸お、気分もちょっとは良くなるって」

 彼女の腕を軽く引っ張った、ほとんど抵抗なくこっちに引っ張られる。


 「?…お前」

 

 「だから嫌だった、いつかバレると思ってた」

 彼女の足は動かなくなっていた。


 「いや、だって…お前、俺ら最近喧嘩ばっかで…」


 「ダメだった、今日だって喧嘩して嫌な気持ちにさせて帰すつもりだった。でも樹は毎日来る。

ダメだった…それが例え喧嘩でも、楽しかった。気持ちが昂ぶって興奮して私が樹の足を引っ張ってるのに、このままじゃ絶対ダメなのに、樹が好きなサッカーより私を優先してくれてることが凄く嬉しかった。……好きなの…。樹が」

 

 「待てって……俺は!」


 「出てって!好きだから!邪魔なの!私がやりたいことができないの!出てけ出てけ!出てけったら出ていけーーー!!!」

子供みたいに泣き喚いて暴れる彼女、彼女の投げたカレンダーが俺にあたってから綺麗にそのまま地面に着地する。

 

「………7月」

 もう言い訳ができないな、そう思った。



 

 

 


 


続きます

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