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STRIFE ANIMA  作者: GaN
Episode 1 Heavy Gun Smoker
2/2

#1 Cartridge Squall

 「キャップ! 依頼内容を確認しますね!!」


 コックピット内で妙に朗らかな女性の声がして、キャップこと、ヒューゴ・エクスハティオは、目を覚ました。任務前に軽く仮眠していたのだ。


「オッケー、レイ。復唱を頼む」


 ツンツンに逆立った紅の髪が印象的で、その双眸も紅。中肉中背で、鍛え抜かれた身体は、対人なら十分戦えるだろう。着ているのはTE用のパイロットスーツで、こちらも髪色と同じ紅だ。


「今回の目標はDeckel(デッケル)所有のSF(Strategic Fotress:ストラテジック・フォートレス)、シュツルム・ガイストの無力化もしくは破壊です! 破壊した方が報酬金がグーンと上がるので、そっちの方がお得ですね!」


 SFとは、各企業が所有する大型戦略兵器で、20メートル前後が標準的な頭長高のTEに対して、SFは50メートル前後とまさに動く要塞だ。シュツルム・ガイストは、三門の列車砲を搭載した超大型戦車で、メインの主砲三門の他、各所に機銃やミサイルポッドなどを満載している『動くバケモノ』である。


「いいねぇ。だったら撃破が最良だな。レイディアント・ロマンス、出撃と行こうか!」


 言って、ヒューゴはコントロールパネルの各種スイッチをオンにした。それと同時に長いこと苦楽を共にしているTEが目を覚まし、駆動音がコックピット内に響きわたる。


「システム・オールグリーン。各種武装オンライン。エネルギーゲイン最大値! キャップ!」

「さぁ、ショーの始まりだ!」


 ヒューゴがペダルを踏みこむと、メインブースターに火が入った。土煙を上げながら、レイディアント・ロマンスは荒野を駆けて行った。


 ―◇―◆―◇―◆―◇―


 数十分後、ヒューゴは遥か彼方にシュツルム・ガイストの機影を見つけていた。距離にして約二千メートル。相手の最大射程が千五百メートルほどなので、この距離が安全に近づけるギリギリの距離になる。


 さて、レイディアント・ロマンスの機体構成だが、頭部と腕は日本系兵器企業『オノゴロ連合工廠』で作られた最新パーツ『SUSANOWO(スサノヲ)』だ。鬼武者を模したパーツで、アームパーツには日本甲冑によく見られる大袖のような装甲版があり、頭部は流線形で額にあたる部分には鬼の角を思わせるアンテナがついている。普段、一つ目のメインカメラは露出しているが、高出力戦闘を行う場合は装甲がスライドしてメインカメラを保護する機能がついている。

 胴体と脚部は中華系企業の『龍空――RONKUH(ロンクウ)――』製で、こちらは中華鎧を思わせる曲面主体の造形をしており、胴体は軽量型の『公瑾(こうきん)』、脚部は中量型の『妙才(みょうさい)』を使用している。

武装に関しては右肩には対空能力・経戦能力を考慮し、セイクリッド・ブライアーズ製のガトリングガン『ハイドランジア』を装備している。弾の口径が小さいため、威力は他の同種に比べて低めだが、その代わり比較的軽量かつ、集弾性・速射力・装弾数に秀でており、どんな機体アセンブリでも

搭載できる使い勝手の良さが光る。

 左肩に装備しているのは、最大九つのロックオンが可能なDeckel製の小型ミサイルポッド『ハーゲル』だ。こちらもまた、威力は抑え目だが軽量で、装弾数・追尾性に優れた弾頭を積んでいる。

 そして、現在両手で持っている武器は『インペラータ・グローマ』製の大口径スナイパーカノン『ヘイヘ』である。このスナイパーライフルは、レーザー兵器を主に製造するインペラータ・グローマには珍しい実弾兵器で、TEの装甲をいとも容易く貫く、強力な貫通弾が使用されている。その分重く、弾数もマガジン一つに対して最大六発装填で、予備マガジンもその重量から一つしか携行できない。

 それらを統制する火器管制システム――いわゆる、FCSだ。――はこの手のパーツが得意なオノゴロ連合工廠制の『YATAGARASU』で、全距離対応型のハイスペックなものである。


「仕掛けるか! まずは……」


 ヒューゴがそう言うと、コクピットに映し出されたマーカーが緑から赤に変わった。


「足を止めるッ!!」

「誤差修正完了! キャップ、今です!」


 ――ガッカァァァァァ……ン!


 スナイパーカノン独特の銃声が響き、銃口から放たれた弾丸はシュツルム・ガイストのキャタピラに直撃した。ヒューゴは間髪入れずに二射目を投じ、更に三発四発とトリガーを引く。その弾丸はシュツルム・ガイストの車輪と履帯は弾丸によって激しく損傷し、あるいは噛み合わせが外れ、それ以降の移動が不能になってしまった。


「よっしゃオーケー! あとは最高速度で間合いを詰めるだけだ!」


 ヒューゴがペダルを踏みこむ。それに連動して、SUSANOWO製ジェネレーター『IBARAKI』の回転数が上がり、そのエネルギーは龍空(ロンクウ)製背面ブースター『絶影』と、同じく龍空(ロンクウ)製サイドブースター『的盧(てきろ)』に送られ、素早い直線加速力と、急速な切り返しが可能になる。

 さすがにシュツルム・ガイストもこちらの存在に気付いたようだ。御自慢の列車砲と、ハリネズミのように突き出た対空対地機銃で分厚い弾幕を叩きつけてくる。

 それを素早い立体機動で回避しつつ接近し、その間に手に持っているヘイヘを折りたたんだ上で腰部リアアーマーに懸架し、入れ替わりで別の武器を装備した。

 左手には瞬間火力と経戦能力に長けたDeckel製サブマシンガン『メテオ』を装備し、右肩のハイドランジアと併用することによって、最初の障害である機銃を無力化していく。

 迫り来る弾丸の雨を、右へ左へ、上へ下へと、激しく動きまわる。並のパイロットなら、ヒューゴのするような高速立体機動は実現できない。四方八方からかかるGで体がもたなくなる。逆にヒューゴは、そのGに耐えうる身体を持っているのだ。ゆえに、多少の無理も問題ない。

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