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プロローグ

閲覧ありがとうございます。

 

「あなたは純粋過ぎるわ。それは美点ではあるけれど、貴族社会では人を疑うことも時には必要なのよ。」


 お茶会や社交パーティの度にそう母に諭されてきた。

貴族社会は華やかな見た目に反して水面下では腹の探り合い、政治的な工作が交わされているのだから、誰のことも簡単に信用してはいけないと。


「あなたって、まるで穢れを知らないみたい。人は誰でも親切な心を持っていると信じているのね。」


 友人達からは、天真爛漫過ぎると呆れるように言われていた。

 悪意を持って近づいてくる人もいるのだから、誰も彼も信じてはいけないと。


 その度に世間知らずな私は母や友人達に言い返していた。


「そんなに人を疑うものじゃないわ、皆凄く親切な方ばかりなのよ。」


「そうね、私をお嫌いな方もいると思うわ。でもそんな方でもちゃんと話し合えば分かってくださる筈よ。」


 素敵な笑顔で好意を示してくれる人は、その表情通りの感情を持っていると思っていたし、人の言葉の裏に別の意味があるとは考えたこともなかった。


 性善説を信じ、根っからの悪人なんて存在しない。世界に沢山存在する犯罪者は、ちょっとボタンをかけ違えてしまっただけ、誰かが正しい道を示せば更生できない人なんていないと思っていた。


 なんて甘ったるい考え、信じられない。


 ()()の記憶が蘇る前の私は馬鹿だったんじゃないかしら。

 そんな風に誰も彼も信じるから簡単に騙されるのに。婚約者と親友に笑顔の裏で馬鹿にされているとも知らないで………。






 

閲覧ありがとうございました。

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