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異世界の獣医師になりたい!  作者: 雪芋
学園編
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入学式

短めですが、切りがいいので。

 学園の寮での生活に慣れた頃、待ちに待った入学式の日がやってきた。


 この日は全校生徒が公会堂という建物に集められる。朝起きて顔を洗い、髪を梳いていると眠そうなフェルが起きてきた。まだあくびをしている。

「フェルって割と朝に弱いよね」

「ロルフィが朝に強すぎるのよ・・・

 ていうか、昨日の晩も結構遅くまで教科書を読んでいたけど、大丈夫なの?」


 教科書は入学の3カ月前には家に届いていた。事前に勉強しておけ、という事だろう。まさに山のように積まれたそれを片っ端から読んで、実はこの時点では読み切ってしまっていた。

 昨日読んでいたのはこの学園に来てから街の図書館で、勉強に参考になりそうなものを借りてきたものだった。学生証を提示し、保証金を払うと簡単に貸し出してもらうことが出来た。

 本当は学園の図書館だと無料で貸して貰えるのだけど、開講日以降でないと開いていない。今日の入学式が終わったら新人歓迎会まで時間がある。その間に入館手続きをしておこうと考えていた。


 ちなみにこの世界では時計もあるが、高価で一般家庭にはあまり普及していない。

 その代わり前世での1時間にあたる間隔で鐘が鳴らされる。1回から6回までの回数で、それが1日に4回繰り返されるのである。6回鳴らされるのは午前0時、午前6時、正午、午後6時になる。太陽の高さと合わせれば鐘の音だけで時間が分かる仕組みだ。

 この世界は大抵の計算は10進法だけど、時間だけ12進法なのは時の精霊の眷属数が12だかららしい。この辺も自分が違和感無くこの世界で暮らしてゆける理由なのだろう


 入学式は3の鐘が鳴るとともに始まるので、それまでに生徒達は各学年ごとに並んでいる椅子に座って行く。椅子には名前が書いてあるので迷うことはない。

 皆が所定の位置につくと壇上に学園長が上がり、それとともに司会役が声をかける。

「これよりエルム学園の入学式を行う。

 学園長挨拶。」


 学園長は白い髭を蓄えた・・じゃなくて、なんと女性だった。自分の母親と同じくらいかちょっと上?ややおっとりした感じの美人さんだ。

「ようこそ、エルム学園へ。

 ここは学びの場であるとともに、貴方たちの未来を豊かにしてゆく場所でもあります。

 ここには友人を作り、知識を高め、将来の糧とするための、あらゆるものが揃っています。そして、それらをつかみ取るのはあなた方自身です。

 今の時間を大切にし、その若さで、出会う全てのものを受け止めてみてください。

 私達は良き出会いのための環境を整え、あなた方を支えてゆきたいと考えています。

 自分の手で掴んだ物は、あなた方を決して裏切らないでしょう。

 ですから            」


 前世でもこういう○○長挨拶というのを何度も聞いたことはあったけど、人生を再びやりなおしながら、こういうのを聞くと心に沁みるものがある。

 要するに、前世では精神と経験が未熟過ぎて、言っていることに全然実感がわかなかったのだ。だから理解出来なかったし、聞いていてもつまらなかった。

 前世ではあるが、ある程度生きて人生というものを経験してみると、言葉からはまた違った意味を感じることが出来るのだな、と思った。 


 その後も新入生の宣誓やら先輩の挨拶、学園の名物紹介やらが続き、式は何事も無く終了した。

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