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「ふむ、テクマ◯マヤコン、◯クマクマヤコン」
俺から話を聞いた村長のお爺さんは、水晶玉に手を翳してそう唱えた。
それは流石にダメだと思いますよ?
「おお、このお方の言うことは本当じゃ!」
「本当なのか!? アック爺……村長!?」
秘密のアックちゃんは驚きに目を丸くしながら、青年に向かってうなづいた。
「うむ、そうじゃ。グリ、しかもこのお方はダンジョン攻略者じゃ!」
「な、なんだとっ!?」
驚きの表情でグリと呼ばれた青年は俺の顔を見る。
特別にスマイルをプレゼントだ。なんと0円!
というか驚いてるのは俺もなんですけど。
俺いつの間にダンジョン攻略したの?
「本当だったか……すまない」
グリは素直に頭を下げる。
「いや、いいんですよ、分かってくれれば」
それより情報を頂戴な。
なんせ『謎世界ダーツの旅』の第一村人君だから。
「えっと……冒険者様? どうしてこの村にいらっしゃったのですかな?」
「あ、俺は荒木蒼太……ソウタです。この村には、旅の途中で立ち寄りました」
まあこの辺りはテキトーでいいだろう。
別に何も悪いことしてないし?
そういうとアック爺さんはハッとして言った。
「ワシの名前はアックフォウでございます。それでこっちの馬鹿はグリートでございます」
アックフォウってなかなか変な名前だな。
そんな小並感あふれる感想くらいしか出てこない。
「そうですか、旅の途中で………」
「あー、はい。ただダンジョンについてはイマイチよく分かっていなくて……」
するとグリが横から口を出してくる。
「ほんとにダンジョン攻略したのか? 痛っ!」
「この馬鹿者っ! この水晶に写ることは、全て事実じゃ!」
「だってよ………」
「そうですか、ダンジョンについてあまり知らないのにダンジョンを攻略なさったのですね」
グリの頭を引っ叩いて、村長は話を続ける。
「こちらもダンジョンについて分かっていることは少ないのですが……」
「なんでもいいです、教えてください!」
「では………」
そう言うと村長は、ゴホンと咳をして話し出した。
「ダンジョンとは魔法によって守られた未知の建造物のことでございます」
魔法も奇跡もあるんですね。わかります。
ほんとにここが地球なのか、マジで怪しくなってきた。
いっそゲーム世界ならやりようもあるけどなぁ。
「入るのにも、攻略するにも独自の条件があり、世界中に散らばったダンジョンのほとんどはまだ入ることすら出来ておりません」
ほう、入るのにもひと苦労と。
マジで俺どうやって入ったし。
「ダンジョン攻略者は何らかのアイテムや能力を貰える上にダンジョンの所有者となります。
そこから取れたものは全て所有者の物となり、それでひと財産築かれた方もおります」
ふーん、じゃあ俺は現在ダンマスな訳か。
しかも特殊アイテム or 能力持ちと。
「知っているのはコレくらいですが、この村の近くにはダンジョンが2個ありまして………」
そう言うと、村長は2つの方角を指した。
「南に大規模なダンジョンが1つ、南西に小規模の家みたいなダンジョンが1つございます」
それ多分、俺の家ですわ………。