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「何者だ!?」
そう言って出迎えてくれたのは、ブレストプレートみたいなのを装備したお兄さんでした。
茶色の髪に青色の目。
顔立ちはどこをとっても外国人。
なのに話す日本語は流暢で、外国人特有の訛りを全く感じられなかった。
「向こうの方から来たんですけど……」
「向こうの方……? あっちには不明のダンジョンしかないはずだぞ」
ダンジョン、だと……?
異世界転移ですか、なんですか、そうですか?
もうよくわかんねえなコレ。
「えっとそのさらに向こうの……」
「そのさらに向こうに行って帰ってきたやつは、まだ1人もいないんだぞ? それでもその嘘をつき続けるのか?」
「えぇ……」
そのさらに向こうは別として、ほとんど全部真実なんだけどなぁ……。
見れば槍っぽいものを持っているが、明らかに品質が悪い。見ただけで文化レベルの低さが分かる。
「ちょっとこい、村長の判断を仰ごう」
黙っていたらそんなことを言われて、俺はその青年に捕まれて引きずられしまった。
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ずりずり、なんて効果音が付きそうな引きずられ方をされそうになったので流石に立ち上がる。
ズボン破けたら勿体ないしね!
街の人の服も、絵に描いたようなファンタジー衣装で、アニメの中に入り込んだような気分になる。
「ここはなんていう名前の村なんですか?」
歩きながら訪ねてみる。
「……知らないのか?」
すると青年は訝しげな表情で聞き返してきた。
え、この外国の過疎集落みたいな村ってそんな有名なわけ?
おじさん都会暮らし長かったから知らないわー。
「なにせ遠いところから来たもので」
「ふん、言ってろ。村には嘘を看破する魔道具があるんだからな」
聞きました? 奥さん、魔道具だってよ。
魔道具ってあれだろ? あの買えば運が良くなったりする壺とか、隣のお姉さんがよく買ってたわ。
あの人あれからどうなったんだろ。
「魔道具、そんなものあるんですか?」
「……? どこにでもあるだろう?」
しかも結構流通してらっしゃる。
裁判とか占いでやるタイプ? もしくは星を見たら人の運命が分かる?
村はそれなりに賑わっていた。
子供の数も多いから、少子高齢化とかには悩んでいなさそうだ。
少子化対策してるんだろう。育児休暇とか。
「さ、着いたぞ」
「うわぁ…………」
そこには占いの館みたいな建物が建っていた。