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冷蔵庫の中の食べられるものと食べられないものを仕分ける。
冷凍庫の方は完全にやられていたので、肉や魚なんかは当分食べられそうにもない。
「ん? 魚といえば東京湾で釣りできるかな?」
釣りセットはあるし、車庫を見たけど車もどうやら無事だった。
ガソリンは嬉しいことに満タンだし、しばらくは生きていける気がする。
釣りに出かけるのはアリだな。
仕分けが終わったら、今度は非常用の食べ物、水、寝袋、懐中電灯etc.の確認。
「缶詰はまあ切り詰めていくとして……インスタントのラーメンなんかは……お湯は沸かせるか?」
今はまだ何とかなるけれども、結局は水源を見つけなきゃ詰む。
何をするにしたって、まずはこの辺り周辺を探っていくしかないようだ。
「水は2リットルのが10本。缶詰は10種類それぞれ5つずつ。8枚切り食パンが10枚」
米とインスタント麺はノーカンで。
調味料が今ある分しかないのは結構きつい。
「まあ最低限の健康的で文化的な生活は送れるって感じかな?」
ありがとう日本国憲法! ありがとう生存権!
もはやあるかもわからないけどね。
「そいじゃまあ、出掛けますか!」
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車のエンジンをかけて乗り込むと、冷房がついていた。
そういえば今何月なんだ?
ともかくガソリンの無駄だから、冷房を消す。
外の気温は25度と表示された。
「秋?」
まあいい、とりあえず出よう。
アクセルを踏むと車は動き出した。
荒野を進む。
大した障害もなく、ひたすら草が邪魔なだけ。
「とりあえず南に行けば東京湾だな」
何キロ走ったかはメーターと概算でどうにかする。
だいたい東京湾まで直線距離で走って20キロかそこらだ。
時速60キロで走ってるから20分で着く。
「はずなんだがなぁ……」
さっきから1時間は走ってるけど、東京湾はない。
場所が転移するなんて聞いてないから、東京湾あるはずなんだけど……
本当に本当に、10日間なんだよな?
もう信じてないけど。
このまま走り続けるのも不毛だ、引き返そう。