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目が覚めたら世界が終わっていたので旅に出ます  作者: チルノのパーフェクト理科教室
2/16

 

「うぉい!? それってまさか……」

「あー、出られないね」


 なんて呑気に言う博士。


 こいつ、人ごとだと思ってに……!


「どうしてくれんだよ!?」

「え、どうもしないよ? もうこうなった以上、君の報復も怖くないし? 実験に使えなくなったモルモットにきょーみない」


 想像以上のクズだった。

 だがこれはどうしようもない。

 ここで騒いだところでどうにかなる話でもないし、助けを求めても無駄だ。


 せいぜい下手に出て情報でも引き出すか。


「おい、それなら今まで実験に付き合ってあげたお礼として情報残してけ」

「えー、まあいいけどさ。何が知りたいんだい?」


 気怠そうに答える博士に苛立ちを覚えるが、ここで電話を切られてしまえば終わりだ。

 我慢しよう。


「まずは時間の話だ。時間が隔離されてるって言うが、それはつまりどういうことだ」


 まずは基本設定を聞かねば。


「あー、君の家の敷地の内側は現実の世界の時間の進みの1パーセントに減速してある」


 つまりここの1年は100年。10年は1000年か。


「じゃあこのバリアが切れる条件は?」

「うーん……博士が作った装置にエネルギーを供給する機関に終わりが来たら?」

「どこから供給してるんだ」

「東◯電力に無断で……」


 博士ェ……どうやって忍び込んで設置したんだ。


「ちなみにもう一度入って壊してくるとかは?」

「東京中が停電するけど?」


 うん、一生解除されないね。


「じゃあ最後に、なんで電話が通じてる?」

「あー、これは勝手に君の家に設置しておいた、博士と電話が繋がる機械のおかげだよ?」


 なんてものを設置してやがる。


「じゃあ博士以外とお話しできる可能性は?」

「ゼ・ロ♡」


 詰んだ。

 じゃあこのまま、食料が尽きるまでここでなんとか命を繋いで、最後は誰にも看取られずに餓死と。


 しかも暇になるのにレジャーもなし。

 餓死する前に暇で死ぬわ。


「ん、わかった。じゃあもう俺はこのまま死ぬってことでおけ?」

「そうだね……残念だよ」


 モルモットが死ぬのがだろ?


「じゃあな、博士」


 そう言って俺は電話を切った。

 そうして家の中に戻る。


 さて、どうしようか。

 この家はつまりガスも電気も通じないと、そういうことだ。

 太陽光発電パネル付きの家だから、若干は電気使えそうだけど、どうなんだろう。


 火はライターがあるから当分大丈夫。


 水でないのはきついな。

 最近は震災が多かったから、保存用の水はまだ何本か残ってるけど……


 そんなこんなで1日が終わろうとしていた。


 これで明日起きたら10日後か。

 なんだか不思議な気分だなぁ。


 俺はベットに横になった。


――――――――――――――――――――――――



 ブチッ。


 電話が切れる。


「あ、いっけね!」


 大切なことを忘れていた、と博士は気付く。


「時間減速1パーセントって言ったけど間違いじゃん!」


 博士は手元の紙にサラサラと計算した。


「あー……ま、いっか!」


 博士は紙を放り投げた。

 放り投げた紙が宙に舞う。


『時間減速1/10000パーセント』


 そう、紙には記されていた。


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