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茨城県から千葉県へ行くには、一般道でも行ってもいいし適当なICから高速に乗って成田ICとか千葉北ICで降りる。
その間だいたい2時間。
これがまあ、一般的な行き方だった。
のは昔の話で、最新の経路はこうだ。
1日かけて、霞ヶ浦の真横を通って茨城県を南下し、千葉県に進入する。
その間風景は特に変化なし。
およそ千葉県の県境を越えたかなー、ってところで1日目が終了する。
この時代の人にしてみれば大したことはないらしいが、車に頼り切りの現代人にとってはマジ苦行。
「とりあえず、ここまでにするかぁ!」
「そうだな!」
元気だなぁ、お前たち。
おじさんはもう限界。声も出ない。
そもそもサラリーマンは運動するために生きてるんじゃないの。
休日走ってる殊勝な方もいますけどね?
休日くらいゴロゴロしたいじゃないですか。
「ぁ……あぁ……ソダネ………」
筋肉痛がやばい。
多分一生分の足使ったわ。
異世界転移とかする予定のあるおじさんがいたら、まず筋トレすることをお勧めする。
「なんだなんだぁ! もっと元気出せよ!」
「そうだぜソウタ!」
こいつら……ぜってえ車に乗せてやんねえ。
とりあえずその夜は寝袋見せつけてドヤった。
2日目。
たんぱく質をめっちゃ摂取したら筋肉痛が楽になるかと思ったが、一朝一夕には治らなさそうだ。
激痛を堪えて、なんとか平然な顔で歩いている。
「………大丈夫か、ソータ?」
「ぁぁ、大丈夫デス。オスカルさん」
「今にも死にそうな顔してるけど……」
うーん、ポーカーフェイスって難しいよね!
千葉県は落花生の名産地だったり、醤油とか作ってたりするからね。
美味しい落花生があることを期待してるよ。
「ところで、この辺りに村とか作らないんですか?」
気になっていたことがある。
村から村までの距離が遠すぎたりするから、もっと近距離にたくさんの村を作ればいいのに。
そしたら宿をとったりなんだりできる。
「………? 村は加護がある場所にしか作らないぞ」
2人ともなに当たり前のこと聞いてんだ、みたいな顔をしている。
加護? またファンタジーな言葉が出てきた。
「知らないのか? 加護がない場所では人は生活できないんだぞ? 水が得られないから」
「そうそう、水がねえと生きられねえからな!」
あっれ? 水とか井戸掘ればいくらでも手に入るんじゃなかったっけ?
特に日本は。
そんなことを考えていたら、2人が唐突に立ち止まった。
そしてオスカルが指を指して言った。
「おいソータ! アレを見ろ!」
「えぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーー!」
『そのとき蒼太が目にしたものとは!?』
「デトックスニーランド、だと……?」
千葉なのに東京な遊園地があった。