12
次の日。
グリにお礼を言うと冒険者ギルドを訪れた。
「オスカルさん。南のダンジョンに連れて行ってくれる人が必要なんですけど……」
「南のダンジョンか……いっちょ俺と行くか?」
「いいんですか!?」
なんだかオスカルが眩しい。
多分スキンヘッドと照明のせいだ。
「もちろんだ!」
そんなこんなでオスカルと共に旅立つことが決まったわけだが、南のダンジョンまで徒歩2日だそうだ。
話を聞くだに千葉県の辺りにあるらしいが
遠い……車なら2時間もかからないのに……。
まだ大っぴらにダンジョン攻略したわけじゃないから、急に車を出すと怪しまれそうだ。
それにガソリンがいつまでもつか分からないし、大切にしないとな。
とりあえず今回は徒歩で行くとしよう。
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「おいソータ! 準備終わったか!?」
「はい! 大丈夫です!」
なんだかんだと準備を整えて、オスカルのところへ行った。
バックパックみたいなのが冒険者ギルドで売ってたのをみるに、リュックは怪しまれないだろうと思ってリュックサックを持ってきたわけだが……。
「お前そんな少なくて大丈夫なのか?」
「いやいや、オスカルさん多すぎません?」
めちゃめちゃ持ち物が多かった。
どうも寝袋とかがないらしい。
かと言って地べたで寝転がるのも良くないので、たくさんの布を持ってきていた。
「まあいいか。このあたりのニッポン地方だとあんまり魔物とかも出てこないしな、体痛くてもなんとかなるだろ」
「他のとこじゃ魔物が出るんですか?」
ニッポン地方って……。
魔物が出るというのは、元の世界にはなかったことだけど、どんな魔物が出るんだろうか?
「そーだな。ニッポン地方には人を食う獣が少ないからな」
「それとなんか関係あるんですか?」
「人の中に溜まる魔力は自然の魔力と違って悪性があるんだ。それを食った獣が魔物になるってことだ」
ほへー。
性悪説に基づいてるのかな?
それとも『黒いル◯』と『白い◯フ』の違いとかかな?
「まあその辺りに行ったら気を付けろよ」
「分かりました」
「じゃあ行くか」
そのままギルドを出て、門から出発しようとしたそのときだ。
後ろから何かが迫ってくる気配を感じた。
「おーい! ソウタ! 俺も連れてってくれー!」
「グリ!? お前門番は!?」
「しばらく休みにしてもらったーーー!」
結構簡単に休み取れるんだなぁ。
だっだっだっ! と走ってくるグリは満面の笑顔で言うのだった。
「ダンジョンの話聞いてから全く仕事に身が入らないから、ついて行きなさいって! アック爺が!」
アック爺……まあいいか。
「いいですか? オスカルさん?」
「うーん……食糧は現地調達になるけどいいか?」
「大丈夫です!」
「ならよし!」
こうしてグリとオスカルと俺は南のダンジョンに向けて旅立つことになった。