身勝手なお嬢様
色々な資料を見て職を探しているのだが、
ありすぎてもはや何がいいのか分からない。
宿舎の仕事や役場の仕事、商業の仕事など様々だ。
どうしたものかと下を向いて悩んでいると、窓辺から夕日が差し込んできた。
そろそろ閉館の時間だなと思い資料を片付ける。
「キミずっと資料見てたねー。なにしてたの?」
いつの間に隣に座ったんだこの女の子は。
全然気づかなかった。てか顔近い。
「キミいつから居たの?」
「随分前からいたわよ!気づかなかった?」
「気づかなかったです。俺はもう帰りますね。どなたか存じ上げませんけど。」
立ち去ろうとした目の前を塞がれた。
「まだ何か用ですか?」
「キミさ私に雇われない?簡単なお仕事よ。」
なんか胡散臭い、適当な理由つけて断るか。
ヤバめな案件かもしれないしな。
「お断りします。今急いでいるので。」
「お兄さんいいじゃん。この際結婚しちゃおう?」
「なに?ナンパこしてまさかのプロポーズですか?結婚詐欺ですか?」
「し…失礼ね、私に詐欺師呼ばわりなんて…」
彼女はムクれ顔になっている。
「メルビス!メルビスー!」
「何でしょうか?お嬢様。」
お嬢様?この子は、どこかのお嬢様なのか。
やっかいなことにならなければいいけどな。
その不安はやがて確信へと変わる。
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