幻実
生きている
死んだ。その日は晴れだった。なんてことない一日で終わると思っていた。なんてことない、飛び降りだった。確かに地獄に落ちた。落ちるべき人生だった。
死んだ。その日は晴れだった。なんてことない、一日だった。地獄はあった、雰囲気で、ここが地獄と分かった。景色も変わらないけど、確実に分かった。変わったところはない。強いて言うなら、気付いたというべきか。僕は地獄を生きていた。地獄で死んでいた。死んだまま、過ごしていた。
気付かなければよかった、気付いてしまった。もう変わらない。変わったのは、僕だった。
死んだ。その日は晴れだった。なんてことない一日が終わった。
死んでいるのには違いはない。けれど間違いがないとは言い切れない。誰が僕を、死んでいると言えようか、生きていると言えようか。