プロローグ☆もう一人の柄本直也
プロローグ☆もう一人の柄本直也
「直也?」
病室で寝ていた小鳥遊結子は物音に、声をあげた。
「そうだよ」
確かに夫の柄本直也ではあった、が、若い頃の姿だった。
「…何歳?」
「15」
ふふ、と結子は笑った。産後の肥立ちが悪くて臥せっていたのに、なぜか元気が湧いてくるようだった。
「15のボクはどうしてここにいるのかな?」
結子の問いに直也は真面目くさって姿勢を正すと、「直也部隊隊員101、ただ今より小鳥遊結子の護衛任務につきます」と言った。
「!?」
直也部隊?どういうことだろう?
「この時空の未来の直也が、あちこちの時空の自分に招集をかけて部隊をつくりました」
「時空パトロールには反対されなかったの?」
「この時空の直也が直面した危機を看過するわけにいかないからと、梨華さんたちの口添えもあって、時空パトロールが重い腰を上げたんです。敵からあなたと直也を守るため、時空の歪みを正すため、僕らは立ち上がりました」
私はこのまま衰弱して死ぬのかしら?と考えていた矢先の出来事だった。結子は両手を握りしめ、生きよう、と決断した。生きて、夫の直也とともに未来へ行こう。そのために、みんなが力になってくれるのだ!
「直也の研究を邪魔する勢力の特定がもうすぐ完了します。それから僕らはタイムパトロールとともに協力してその勢力を根絶します」
「なんて頼もしいの!」
結子は思わず嬉し涙を流した。
「さあ、泣かないで。身体に障ります」
「ちょっとだけ、眠るわ」
「はい」
「ずっとそばにいてくれる?」
「もちろん!…守ってあげます」
結子は幸せそうに寝息を立て始めた。