表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

しあわせの唄

作者: 曲尾 仁庵

私の悲しみは私のものであって

あなたのものではない


私の苦しみは私のものであって

あなたのものではない


私の痛みも

私の嘆きも

私の辛さも

私のむなしさも

すべて私のものだ

あなたのものではない




あなたの喜びはあなたのものであって

私のものではない


あなたの楽しみはあなたのものであって

私のものではない


あなたの強さも

あなたの愉悦も

あなたの快楽も

あなたの満ち足りた心も

すべてあなたのものだ

私のものではない




誰かを理解したと思わぬがよい

それはきっとまぼろしであろうから


誰かに理解されたと思わぬがよい

それはきっとまやかしであろうから


私はあなたではない

あなたは私ではない

あたりまえのこと

あたりまえの




誰もが己の道を歩む

己だけの道を

あなたの隣にいる誰かでさえ

あなたの道を歩くのではない

あなたの道の隣にある

その人の道を歩いている

道が重なることはない

触れられるほどに

近付くとしても

道はいつか必ず別れる

唐突に

あるいは少しずつ




すべてを理解したと

その傲慢が瞳を曇らせていないか

すべてを理解してくれていると

その怠惰が手を腐らせていないか

あなたの隣を歩く誰かは

あなたと違う場所を見据えていないか

彼の、彼女の描く未来に

あなたは存在しているか


誰かを理解したと思わぬがよい

気付いたときには手遅れであろうから




けれど

そうと知ってなお

あなたがすべてを理解したいと思い

あなたのすべてを理解してくれると

信じるに足る誰かが

あなたの隣で

あなたと同じ景色を見据えて

あなたと同じ速さで

歩いてくれているのだとしたら

それをこそ私は


幸せと呼ぶ

 あなたが私を理解できないという事実は、あなたが私を理解してくれると私が信じることを否定しない。

 理解できないと知りながら、理解してくれると信じることができるのなら、それはきっと、愛と呼ぶにふさわしいのだと、私は思うのです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ