髪の色=魔力の強さ
目を覚ますと見知らぬ天井が広がっていた。あぁ、努力も虚しく私は死んでしまったのだと何故かすぐに理解する事が出来た。自分の手を見るととても小さいので、恐らく私は今赤ちゃんなんだろう。また人生1からやり直しか...。前前世も入れるともう私40近くのおばさんだわ。だけど逆に2回の人生で100歳超えてないあたり絶望しか感じない。
とにかく私が今しなくちゃいけないのはこの世界が『モノセカ』の世界かどうなのかの確認だ。
なにか手がかりがないか首だけで辺りを見回すと
、ある異変に気づいた。生後間もない赤ちゃんであろう私は一室に放置されていて、親の姿どころか人ひとり見当たらない。だが間違いなくここは家の中、それもそこそこ裕福な家の部屋であることは分かるので、捨てられたわけではないと思うが、とにかく嫌な予感がした。そしてその予感はすぐに当たった。
「あの子は忌み子に違いないわ!!」
「おちつけリリア」
「だって私も貴方も無魔法なのに髪の色が茶色じゃないのよ!?しかも灰色だなんて...私見たことないわ!」
「これもレイニル様の意思なんだろう」
こんな話し声が隣の部屋から聞こえてきたのだ。と、同時に今の私の現状と、この世界が『モノセカ』の世界であることを理解することも出来た。『モノセカ』では髪の色で持っている魔法の種類が分かるという設定があった。赤系統は火、青系統は水、緑系統は風、黄系統は土である。色がくすむほど魔力は低く、色が鮮やかになるほど魔力は高い。だがこの世界では全ての人間が魔法を持っている訳では無い。むしろ無魔法の人間のがかなり多いのだ。
この世界で魔法を持つものは全人類の1%程である。つまり残りの99%は無魔法の人間なのだ。そして魔法を持たない人間の髪の毛は必ず茶色である。だからこの私の両親と思われる2人は私の髪が灰色である事に騒いでいるのだろう。
そして父と思われる男が発した言葉『レイニル』もう間違いない。この世界は『モノセカ』の世界なのだ。前前世の世界に戻ってきてしまった。といっても私は人間に力を与えてすぐに死んだので髪の毛のことは前世で知った。つまりこの世界は前前世の2000年後なんだろう。あぁ、ややこしい。
しかし灰色の髪の毛だなんて私もゲームで聞いたことがない。やっぱゲームの世界とは時代がずれているのかもしれない。まぁ、周りからジロジロ見られたり嫌がらせされるかもだけど死ぬまではいかないでしょ。なんて考えていた私を呪いたくなる日が来るなんてこの時の私は思ってもいない。
とにかくこの世界に生まれてきてしまったのなら第1の目標はやっぱ生き延びること。その為にはレイニルや主要人物と関わらないように生きなければ。万が一の為にゲームをやりつくしといてほんと良かったと思う。