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勇者の後ろで僕(魔王)は笑う  作者: ポポンα
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No,1『幼馴染が勇者になった』

これからちょくちょく更新する予定

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隣の家に住んでることから、昔から彼女とはよく遊んでいた

大きくなってからはそれぞれ同性の友達も増えたことで二人だけで遊ぶことは少なくなったけど、それでも僕と彼女の関係が変わることはなかった

毎朝、裏庭で遊ぶのが日課なのだ

僕の言う遊びは木刀での一本勝負

これが目覚ましにはもってこいの遊びなのだ

ちなみに、彼女にこの遊びで負けたことは一度もない

最近は負けそうになることも多々あるようになってきたけど、まだ余裕の範疇だ


ところで今日、そんな彼女が勇者になったらしい

何やら錆びた剣を抜いたとかなんとか

あと、右手に痣があったとかなんとか

手の痣は彼女に生まれつきあったもので、彼女は密かにコンプレックスを抱えていた

彼女と似たような痣(左手にだけど)は僕にもあったんだけど、彼女に隠せと言われたので今は手袋をしている


そんなこんなで勇者となった彼女は生まれ育った小さな村を出て、王都へ行ってしまうらしい

彼女はそれを拒んでいるらしいけど、明日には強制的に連れてかれてしまうのだと言う

全く、ひどい話である

そして現在、唐突な引っ越しに戸惑い僕の家に泣き入って来た彼女が目の前に座っている状況です

はい、僕はどうすれば良いんだろう?


「ねぇ、私どうすれば良いのかな?」

「ん〜、それ今僕も考えてたとこ」

「ほんと!?」


そんなに僕を困らせて嬉しいのか、彼女は顔を赤くして嬉しそうに笑う


「それはそうと、エナはどうしたいの?」

「私は…、この村から出て行きたくない。フウと一緒にいたいよっ!」


顔を真っ赤にして言うエナ

知恵熱が出たのだろうか?そこまで精神的に追い込まれて…

まぁ、エナと一緒にいたいのは僕も同じだ

エナの手料理は美味い

うちの母親は家事全般がダメで、父親は作るとしても肉を焼いただけ

焦げまくりだし、料理とは到底言えない代物だ

それとは違ってエナの手料理は素晴らしい

調味料は最小限にし、素材の味を最大限に引き立てる

コストも低くて尚且つ美味い

生活で最も重要な食を毎日提供してくれる彼女の側を

僕は一生離れたくないと思っている


「僕も、エナの側を離れるのは嫌だなぁ(父さんのご飯なんて毎日食べてたら早死にしそうだし)」

「!?……そう、だったんだ。えへへ」

「うん。だから僕もエナに着いて行きたいな。あっ、でも大丈夫なのかな?何か言われない?」

「そこは大丈夫!私がなんとかしてみせるから!」


家に来た時とは打って変わって元気一杯のエナ

元気になったのは嬉しいけど、なんでそんなに僕と一緒がよかったのかな?

ふと、一つの理由が思い浮かぶ

僕と離れるといつもの遊びで勝てなくなるからか

いつも負けた時は悔しがってたもんな

なんか納得


今から話をしに行くと言ってエナが立ち上がり、僕も玄関まで付いて行く

ドアを開くと、不意にエナが立ち止まった


「フウは本当に私と一緒にいたいの?」

「ん?当たり前じゃん(早死にしたくないし)」

「……それって一生?」

「まぁ、できればそうだね」


一生エナの手料理を食べて生活できるなんて最高だな。

うん、長生きできそうだし、何より楽しそうだ


「そ、そう」

「うん」

「……ねぇ、フウ?」

「どうしたのさっきから?」

「私ね、フウのこと、す……」

「す?」

「す、すすすっ!……凄いと思う!」

「う、うん?」


遊びのことかな?


「じゃ、じゃぁ行ってきます!」

「うん。無理しないようにね」


エナは勢いよく宿屋の方へ走って行った

顔が真っ赤だったし、様子もおかしかった

やっぱり体調が悪かったんだろうか?

帰ってきたら看病してあげよ



後日、エナことエナリーゼと僕、フロウの王都行きが決定した




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