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おなじ夢をみている  作者: メイツル
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5

 混雑する食堂を見渡していると、テツが手を挙げ合図した。同じテーブルには以前誰がかわいいか話していた三人の女子がいた。

 カウンターのおばさんからとんこつラーメンを受けとり、テツのいるテーブルに着くと、「あ、私のとおんなじ」と一人が言った。

「この子、いっつもラーメンばっかり食べてるのよ」と、一人が言い、「あたし、ラーメンめっちゃ好きやねん」とまたさっきの女子が言い、「痩せたいって言いながらいつも食べてるからね」とまた別の女子が言って、みんなが笑った。

 テツは三人にぼくを高校からの友達だと紹介し、「親友みたいな?」と一人が言うと、そうそうとテツは同意し、ぼくは耳が熱くなった。テツはぼくに二人の女子とは同じ授業を受けているのだと話した。


 ポケットに手を入れたとき、また夢をみているのだと気がついた。

 なにかを触っても触感も匂いもしないこの夢はゲームの世界みたいだとおもった。

 周囲を見渡すと地平線が見え、その先にぼんやりと建物みたいな蜃気楼がみえた。

 果てのない砂漠をみて、こうして砂を見るのはいつ以来だろうとおもい、幼い頃、砂場で遊んだことをおもいだし、ひさしぶりに砂山をつくりたくなった。

 その場にしゃがみ、両手を広げ、中央に砂を集めてちいさな山をつくった。ちかくにはおおきな砂丘があり、どうせ夢なんだからこのくらいおおきなものを作ってやろうかとおもったが、目が覚めると消えてしまう夢なのだから疲れるまでやる必要はないともおもい、夢で疲れるとか疲れないとかあるのだろうかと考え、わからないことを考えても仕方のない事だと無心になり、砂の山を高くした。


 数日経って、またここに来た。

 昨日も夢をみていたのかもしれないが、覚えているのは数日振りだった。

 夢はどうしてみるのだろうと、寝る前に携帯電話で夢をみる仕組みについて検索した。検索結果に表示されたいくつかのウェブページをみると、眠りにはレム睡眠とノンレム睡眠があり、脳と身体が交代に休みをとっているのだとあった。脳が起きているレム睡眠のときに目が覚めると、そのときにみていた夢を覚えていることがあるのだともあった。

 雲のないよく晴れた砂漠を歩いた。太陽の光はぎらぎらと地面を照りつけているが、すこしも熱さは感じなかった。目的もなく歩いても退屈なので、消えているだろうとはおもったが、この前つくった砂山を探して歩いた。

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