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おなじ夢をみている  作者: メイツル
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 カレーライスを食べているとカウンターの向こうでおばさんがあまり長く話しているとお客さんの料理が冷めてしまうじゃないのとおじさんをたしなめる声が聞こえ、いやあのお客さんみずきちゃんの友だちみたいでさとすこし早口になって言うおじさんの声が聞こえると、あらまぁそうなのとおばさんの声のトーンが上がり、はぁはぁあの子が生徒さんかいのと客の声が聞こえ、いやいやあの子は違うんですがと数人の視線が向けられているようで食べにくい。

 ぼくはカウンターを見ないように、まったく会話が聞こえていないようなふりをして、手元のカレーライスをを凝視して食べる。

 中辛の程よい辛さでコクもあり、とてもおいしい、ような気がする。誰かに見られながら食べるカレーライスの味はあまりよくわからない。

 皿のなかのカレーライスが半分減ったあたりで、「ごめんね」と、おじさんがテーブルにやってきて言った。

 ぼくはひさしぶりにカレーライスから目を離し、おじさんを見た。

「お水」

 おじさんはぼくの空のグラスに水を注いだ。プラスチック製の水入れには水と一緒に氷と一切れのレモンが涼しそうに入れられていた。

 カレーライスを食べ終えると、ようやく気持ちも落ち着いてきた。グラスの水を飲み、ほう、と一息ついていると、おじさんが皿とカップを載せた盆を持ち、またやってきた。

「カレーライスの後だとあれかもしれないけれど」

 懐かしい友人をもてなすみたいに目を細め、おじさんは言った。テーブルの上に四分の一サイズ程のトーストの入った皿を置いた。

「コーヒーは飲めるんだよね」

 と、カップに入ったコーヒーを皿の隣に添えた。

「これ、ミズさんの言ってたフレンチトーストですか?」

「うん。フレンチトーストの梅とブルーベリーとチーズのせ」

 だったかな、とおじさんはちいさくつぶやいた。白い皿の上には四分の一サイズのフレンチトーストが焦げ目をつけて焼かれ、表面にはブルーベリージャムと緑がかった梅らしきジャムが載せられていた。フレンチトーストの横には四角く薄くスライスされたチーズが添えられている。

 ぼくはおじさんが皿と一緒にテーブルに置いたフォークとナイフを使い、トーストをちいさく切り分け、口に運んだ。一緒にチーズも口に入れた。やわらかくて甘いフレンチトーストと程よい酸味のブルーベリージャムと梅らしきジャムとチーズはばらばらでうまくかみ合っているようには思えず、ちぐはぐな味に思えたが、全部飲み込み、「おいしいですね」と言った。

「あぁ、そう言えばみずきちゃんは最後にチーズだけ食べたり、チーズとフレンチトーストだけで食べていたような気がするけれど」と言い、「一緒に食べても意外と合うのかな」とつぶやいた。

 先に言ってくれよと思ったが、飲み込んだ後だったので、もうどちらでも良いとも思えた。皿の上のものはどれも食べれられるものだし、おいしい食べ方のほうが良かったけれど、胃のなかに入ってしまえば、たぶんおなじことだ。

「タナモトさんはよくここに来ていたんですか?」

「あぁ。絵を描きにね」

 おじさんは言った。

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