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おなじ夢をみている  作者: メイツル
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3

 夕食の唐揚げを口にいれていると「勉強、なんとかなりそう?」と母が不安そうに確認するように言った。

「うん。なんとか大丈夫」

 反射的に答えたあとで、何が大丈夫なのだろうとおもい、唐揚げを飲みこみながら、なんとか大丈夫だと自分に言い聞かせた。


 床に就くとぼんやりと嫌な気持ちになった。予備校の授業の進みは早く、漠然とわからないまま取り残されていくようで気は沈み、今夜もまたへんな夢をみるかもしれないとおもうと薄気味悪くなった。夢のなかくらい楽しく過ごせれば良いのにとおもい、夢を夢だと気付けるようになれば、すこしはましに過ごせるだろうかと考えた。

 明日から日中はポケットの中に何かをいれ、ずっとそれに触れておくことにしようか。ポケットの中に何かがあるときは現実で、からっぽのときは夢だとわかるようになるかもしれない。それは名案のようにおもわれ、うれしくなった。それからすぐに、こんなくだらないことばかり考えているから勉強が進まないのだともおもい、ため息をつき、布団のなかでうずくまった。


 朝は肌寒く、どてらを羽織って朝食を食べた。納豆のパックを開け、ねるねると何度もかき混ぜた。以前、祖母は納豆は何度もかき混ぜればかき混ぜる程においしくなり、より健康的になるのだと言った。納豆の白い糸が泡みたいにふわふわしてきたところで納豆を飯の上にかけ、生卵を入れ、全部一緒にかき混ぜ食べた。

 うっすらと湯気の立つ熱い味噌汁をふうふうとすすった。味噌汁には油揚げと豆腐と茄子が入っていた。今日はハズレだとおもった。母の作る味噌汁は日によって具材が変わり、たまにそうめんやオクラが入っていることがあるが、今日は入っていない。

 二階の自室へ戻り、服を着替えた。肌寒いのでシャツにパーカーを羽織っていくことにした。パーカーのポケットに昨日思いついた何かを入れておくことにした。何を入れるかはぼんやりとイメージがあった。ペン立てから一本の赤と青の明るい配色をしたシャープペンシルを取りだし、ポケットにいれた。

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