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おなじ夢をみている  作者: メイツル
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 頭のもやがすこし晴れ、さっきよりもはっきりしてきたように感じる。眠さはピークを過ぎるとすこしましになるのかもしれない。パイプは異常音を鳴らさない。この工場で生産される冷蔵庫は品質が良いのかもしれない。


「あのね、砂丘からすこし離れたところのカフェに寄ってみて欲しいの」

 ミズさんは言った。「カフェ、っていうか喫茶店かな」と、すこし考えながら「あんぶれら、ってお店なんだけど」と言い、赤い屋根にお店の名前がカタカナじゃなくてひらがなで書いてあるお店なんだけど、とつけ加えた。そこに行けたら、店の中にたぶん髭の店長がいるから、その人にフレンチトーストの梅とブルーベリーとチーズのせを頼んでみてほしいの。と言い、ぼくをみた。ロビーの頼りない灯りがミズさんの顔を照らした。眉がさがり、すこし不安そうにみえた。

「ちゃんと見つけられるかはわからないけど」

 ぼくが言うと、ミズさんは眉をゆるめて微笑み、「よかった」とつぶやいた。


 朝日が部屋を淡く照らし、窓の外にはよく晴れた空がみえた。

 服を着替え、リュックサックから予備校のテキストを取り出すと机の上に置き、タオル、ポータブルオーディオプレイヤー、読みかけの小説、ミルクティーのはいったペットボトルと観光誌を詰め込んだ。

 机の上に準備しておいた財布と100%に充電された携帯電話をジーパンのポケットにしまい、リュックサックを背負った。

 行こうとおもえばいつだってどこへだって行けるんじゃないかと思い、すぐにでも二階から玄関まで走りだしたくなった。けれども、今走れば一階で寝ている父と母が起てしまい、面倒が起こり、行けなくなりそうなのでこっそりと階段を降り、玄関へ向かうことにした。

 夜が明けたばかりの空はまだ白い霞をのこし、太陽の熱を含んでいない澄んだ空気がひろがり、おおきく吸いこむと身体の隅までひろがっていくようにすっきりと目覚めていく気持ちがした。

 日が出たばかりの太陽をみて、三日前、「よかった」と目を細めて微笑むミズさんの顔を思いだした。

 始発の電車から新幹線に乗り継ぎ、特急に乗り継ぐ。座席につく度、乗り過ごさないよう、到着時刻前に携帯電話が震えるよう、バイブレーションをセットした。

 携帯電話の新着メールの問い合わせを行うと新着メールがあり、確認するとミズさんからだった。アルバイトが今日も無事に終わったこと、新幹線から在来線の特急列車の乗り継ぎは降りる駅を間違えないようにと絵文字を添えて書かれてあった。

 午前十時をすこし過ぎた頃、B駅に着いた。列車の遅延も乗り過ごしもなく到着し、ミズさんへメールを送った。携帯電話を閉じ、ポケットにしまったあとでミズさんはもしかすると眠っている頃かもしれないとおもい、このメールの通知が彼女の眠りの妨げにならなければとすこし気をもんでいるとすぐに「楽しんできてね」と返信がきた。

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