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おなじ夢をみている  作者: メイツル
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 ピ、ピ、と短い電子音を発し、パイプは冷蔵庫のガス漏れがなく、正常である事を告げ続ける。柱に備え付けられたおおきく丸い時計が午後十時五十分を指すと、ベルトコンベアは停止し、十分間の休憩がはじまる。

 まだ眠気はなかったが、外の空気が吸いたくなり、工場の外へ出た。

 持ち場を離れ、慣れない建物の中を歩くのはすこし不安で気が急き、携帯電話を開いて、残りの休憩時間を確認した。

 工場の外は晴れていたが、星はあまり見えなかった。家の窓から見える夜空より、ここの道路や街の灯りの方が明るいからかもしれない。夢で見る砂漠は昼間ばかりだったが、砂漠にひろがる夜空はどんなだろうかと考えた。金色の髪をした彼女の事が頭をよぎった。

 ちいさくため息をつくと、父がパチンコから帰ってきたときのようなタバコの刺激臭が鼻につき、振りかえった。

「あ、ごめん。臭いする?」

 うす暗い工場の壁に女が立ち、口から幽霊を吐き出すみたいに白い煙が吐き出され、電灯の灯りに照らされ、ゆらゆらと消えた。

「あ、いや、だいじょうぶです」

 振り向いたことで先に謝られ、彼女に気を遣わせてしまったようで気まずくなった。

「君も吸うの?」

「いや、あまり吸わないです」

 ぼくはタバコを吸った事がない。

「そっか」

 彼女は言い、また幽霊を吐き出した。

「最近入ったの?」

「今日からです」

「あ、そろそろ休憩終わる」

 彼女は話を打ち切り、シャツの胸ポケットから携帯用の灰皿らしきものを出し、タバコの火を消し、胸に突っ込み、「またね」と、工場の中へ駆けて行った。

 工場のロビーの蛍光灯が彼女の茶色く肩より長いポニーテールを照らし、ゆらゆらと揺れて消えた。

 パイプを冷蔵庫に向けながら、周りを見渡す。周囲はゴテゴテとよくわからない機械がたくさん置かれ、離れたところは何もわからない。彼女がどの辺りの持ち場で仕事をしているのかも見えなかった。

 ベルトコンベアが停止すると、また十分間の休憩に入った。ガス漏れのブザーが鳴らなかった事にほっとしながら、工場の外へでた。うす暗い壁を見ると、さっきのポニーテールの彼女がいた。ロビーの明かりの届く入り口付近には、ぼくよりも年上に見える髪を短く刈り上げた男がいて、彼女と何かを話していた。

 夜空はぼんやりと薄い雲が広がり、月も星も見えなかった。タバコを吸うわけでもなく、何をするでもなくぼんやりするには人の目があり落ち着かず、ぼくは肩でちいさく息をすると、ゆっくりと吐き、携帯電話を開いた。

 新着メールの告知マークがついており、確認すると天気予報の自動送信メールが一件あった。

 これから朝にかけての降水確率は70%らしい。

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