表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おなじ夢をみている  作者: メイツル
2/36

2

「あいつら、つきあってんのかな」

 テツは食堂のカウンターの列に並ぶ一組の男女をみて言った。

「そうなんじゃない?」

 ぼくは無難な味のするとんこつラーメンをすすった。テツは大盛りのかつ丼を食べながら、「おれらにも彼女がいればもうすこし勉強頑張ったりできるのにな」と言い、「わからないところを教え合ったりしてね」と同意すると、「そうそう」とテツは言い、受験勉強をするにあたり、彼女がいるというのは癒しにも励みにもなるのだ、というようなことをつよく言うので、「現役で受からなかったのはそれがなかったからかもね」と半ば冗談めかして言うとテツも同意し、「おれたちが勉強しなかったんじゃない。勉強するモチベーションが上がらなかっただけだ」と言うので、「それ、勉強してないってことじゃん」とぼくは言い、テツは笑ってぼくも笑った。

 周りをみると、後ろのふたつ先のテーブルに三人の女子が座っていて、「なぁ、あの三人だったら誰が一番かわいいと思う?」と、テツは言った。

 ぼくは三人の女子をみるには振り向かなければならず、度々振り向いてみるのは気が引けたので(三人は二人と一人が対面になるように座っているので、振り向いても二人の顔は見えるが、一人は後頭部しか見えない)、「あのちょっと茶色い髪の人」と適当に後頭部しか見えていない人のことを言うと、「いや、お前見えてないだろ」とテツが言うので、「髪が綺麗そうだから」と、はぐらかすように答えた。好みについて話すときはほとんど中学の頃に好きだった人のことを思いだしながら話すけれど、今も好きなのかどうかはもうよくわからない。

「おれはあの金髪の子かな」

 とテツは言い、さらさらと楽しそうにじぶんの好みについて話しはじめた。話すうち、熱をもって最近みたアダルトサイトやこっそり借りてみたというアダルトビデオの内容について語り始めたので、ぼくはあわてて話題を変えた。いやらしいことを話しているのにとても清々しい顔をしているので、テツはとてもいいやつだとおもった。

 気が付くとほとんどの人は食堂から退出し、午後の授業が始まる時刻になっていた。

 ぼくらは急いで次の授業のある教室へ向かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ