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とうとうこの日が…

お祭りから数ヶ月たったある日

嘘のように空が暗くなり

風は渦巻き木々をなぎ倒し

雨が降り続き田畑を洗い流す日々が1週間ほど続いて…


人々が家の外を見て愕然とした


「畑が…すべて無くなっている…

 秋の実り無しでどうやって

 冬を越せばいいんだ…」


呆然と立ち尽くす人々の中に

アリアの姿もあった


その日は、総出で被害の確認作業に追われた

幸い怪我人などは居なかったが

畑や道、今後生活する上で必要な物がすべて

無くなってしまった…


それでも、その時は

村の備蓄を配り、畑を作り直し

日数のかからない物を育て

何とか繋げられたのだが…


やっと生活が戻ってきたと思ったとたん

同じ様な自然災害にあい

村人は心も体も疲れていった…


とうとう備蓄も無くなると言うときに

私は村長に呼び出されたのでした。


「アリア、急に呼び出してすまないな…

 さあ、そこにかけてくれ」


私は村長の向かい側にある

椅子に腰掛けた

 

「何となく察しているかもしれないが…

 もう…こうするしかないんだ…

 許して欲しい…」


村長さんはきつく閉じた目の前に

手を組んで祈るような姿で

小刻みにふるえていた


「村長さん

 私はどうすればよろしいですか?

 皆が助かるなら…私

 頑張りますから」


村長さんの姿を見て

私が生け贄となるのだろうと察した

でも、ふるえる村長さんを見ていたせいか

悲しみも、恐怖も何も感じなかった


コンコン


ノックの音がして

村長さんの許可で入ってきたのは

神父さんだった


(ああ、そうか

 神様のところへ行くんだもん

 神父さんと行くんだよね…

 

 最後にイケメン神父さんと

 お出かけできてラッキーだったかな?)


心の中で考えていたら

神父さんは村長さんに


「今、こちらに向かっていらっしゃいます

 こんな状況なので

 出迎えも歓迎もいらないとのこと


 すぐに出発するので

 彼女の準備だけしておくように

 とのことです」


「そうか…わかった

 すまないが、彼女を頼めるか?


 同じ年頃の娘を持つ身としては‥

 本当にすまない…」


村長さんは私の前にしゃがみ込んで

手にチャリチャリと鳴る袋を渡してきた


「えっと、これは…」


困惑する私に


「これから神殿までの途中

 街がある、少ないが

 何か買うといい…

 

 すまない…

 幸運を祈る…」


そう言って

村長さんは部屋から出ていった。

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