結晶の人
「え?えええっ」
私は驚きアル様に駆け寄った
「アル様大丈夫ですか?!って
あれ?」
硝子の様に見えたものを触ろうとしたら
スルリと通り抜けてアル様に倒れかかってしまった
「おっと!
大丈夫?
これはいったい…」
ジル様もゆっくり通過してみせた
「ジルは彼女と手をつないでたから
通れたのか?」
そう言われて
ジル様が一人で通ってみたが
「通れるな」
そう言うと顎に手を当てながら
何か考え始め…
「もしかして…
アルここで待っていて貰えるか?
二人で奥に行ってくる」
「え?護衛が対象と離れたらダメでしょう」
「鍛えているから平気だ」
「…
うーん…
なんとか…
出来ないよね…
わかった
けど、危ないと思ったり
時間がかかりそうなら
一度戻ってきて」
「ああ」
二人の会話が終わったので
私とジル様は奥へと進んで行った
建物は白くとても綺麗だった
奥へ進むにつれ胸のドキドキが増してくる
「大丈夫か?」
ジル様がのぞき込んできた
「え?はい大丈夫…」
気づくと私は涙を流していた
(なんで…?)
そのまま進んでいると
目の前に巨大な白い扉が現れた
ジル様が押してみると
すんなり開いた
開いた瞬間
私は走り出していた
奥にあった巨大な結晶の前で跪く
私は両手で顔を覆い
泣いていた
「あ、会いたかったです…
やっと、やっとここまでこれた」
勝手に口からこぼれた言葉に
結晶が反応した
ほんのり光りはじめると
「中に人がいるぞ!
生きているのか?
いったい何が…」
ジル様は目を見開いて驚き
立ち尽くしていた
「私にも分かりませんが
どうしてもここへ来たかったと
そんな風に思えて…
こんなところ知らないし
なぜそんな風に思うのかも分かりません…
ただ、この中の人を助けたいって思います」
「そうか、でもどうやって助け出せばいいのか…」
そう言ってジル様が結晶に触れると
さらに光が強くなった
「ん?魔力に反応しているのか?」
ジル様は両手を結晶につけた
「アリア
君も手を当ててみるんだ
魔力を流せるか?」
「え?魔力?
私もあるんですか?」
「誰でも少なからずあるはずだ
貴族などは高い魔力を持って使えるが
手を当てて
そうだな…
結晶を温める様なイメージで」
頷き手を当てる
(温める…結晶が氷みたいに溶けるように)
「驚いた…
君は魔力の量が貴族並に多いようだ」
結晶が目が開けられないくらい光り出した