神様現る
とてつもなく大きな扉の前で
二人が神殿長さんと話していた
私に気づいたアル様が
「すごく綺麗だね
女神様かと思っちゃった」
なんて気軽に言うものだから
恥ずかしくって緊張が吹っ飛んでしまった
「それでは
この扉の奥に祭壇がございます
豊穣の乙女がその前で跪き
祈れば神が現れると伝えられています」
「一緒に入ることは可能か?」
神殿長の説明にジル様が質問すると
「そのあたりの記述が無く…
そんなに広い空間ではないので
とりあえず私たちは
この扉の前で跪き待つというのはどうでしょう?」
「わかった、ではそうしよう
アリア頼む…」
「アリアさん
もし神に言葉が届けられたら
私に発言する機会をいただけるか
聞いてもらえないだろうか…」
「ジル様、私頑張ります
アル様もお願いしてみますから
待っていてください」
そう言って私は開かれた扉の中に進んだ
祭壇までの絨毯が
結婚式のようだな
なんて考えながら一歩一歩進んだ
不思議と怖いという気持ちはなかった
なんだか懐かしいような
不思議な感じがする
祭壇の前に着いた私は
跪き祈りを捧げた
(神様、どうかみんなをお救いください
私はどうなってもかまいません
みんなが幸せになれますように…)
心の中でつぶやくと
体が暖かいものに包まれた
(眩しい…目が開かない…)
「やっと…やっと来たか
そなたが来るのをずっと待っていた」
おじいさんの様な低い男の人の声がした
私はそっと目を開けてみた
輪郭は人っぽい
逆光で影しか見えないが…
「私を待っていた?
私がここに来るために
災害が起きたのでしょうか?」
「そうだ
必ずそなたが来ることになっていた」
「なぜ私なんかに…」
「その答えのためにも
王家の者と行って貰いたいところがある
外に居る者達にも聞こえているだろう
ここから東
精霊の森と呼ばれ
人が入れないと言われるところがある
そこに私の子が眠っている
どうか起こして来て欲しい
そなたを真に待っていたのはその子だ
理由も本人から聞くといい」
「人が入れない森に…どうやって入れば?」
「あの森は許可されれば誰でも入れる
では、頼んだぞ」
「あ、あの!
外にいらっしゃる
アルフレッド様のお話も聞いていただけないでしょうか?」
「あの者の願いも
あの子なら叶えられるだろう…」
そう言うと光が消えて
入ってきたときと同じ様に戻った