プロローグ
私の名前はアリア(16歳)
小さな村に独りで住んでいる
去年までは母と一緒に住んでいたのだが
病で亡くなってしまった。
小さな畑とお針子の仕事で何とか生活している。
今日は村中が騒がしい
またこの季節になってしまったようだ…
「アリア!今日はお祭りだよ!
そんな辛気くさい顔してたら
豊穣の乙女に選ばれなくなるよ!」
と、声をかけてきたのは
小さい頃からお世話になっている
近所のおばちゃん
『おばちゃん…
どうせ今年も私になるんでしょ…
選ばれなくなるなら万々歳だわ』
「なーに言ってんのさ
この国は大神様のお膝元だよ!?
もう何十年も天災なんか無いんだから
選ばれた方があんたも生活が楽になるだろうに」
『まぁ…それはそうだけど…』
「もうすぐ始まるよ!準備してきな!」
おばさんと別れて家に帰る
誰が喜んで豊穣の乙女に選ばれたがるものか…
平和な今じゃただの美人コンテストのように聞こえるが
古くからの決まりで
毎年1人、12歳から20歳までの乙女から選び
神の怒り(天変地異)をおさめていただく為の生贄となる
そのかわり選ばれた1年に
その家が納める税金が免除になるという
何も起こらなければかなり美味しくはあるものだ
何でこの村からなのかはよく知らないが
毎年ここで行われ、12歳になってからは
ずっと私が選ばれている…
そんなに美人でもない
ただ、みんなが父親が居ない我が家の財政を思ってか
押し付けられているのかは分からないけど…
母が倒れてからは助かっていた
幼い私だけでは税金など納められないのだから
去年とうとう母も亡くなり
今は何とかやっていける程度にやれてる
ただ、悲しむ人が居ない私の方が都合がいいのだろう
そんなことを考えて暗くなりながらも
家についた私はお祭り用の花冠を作る
12歳から20歳までの女子は
分かりやすいようにこれをかぶる
(もちろんお祭りは強制参加である)
はぁ…行きたくない…