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魔王降臨!

ようやく間皇 海斗(まおうかいと)の日常が始まりました。

今回も間皇君の視点でお送り致します。

 バイトから帰宅し、風呂に入り眠りについたのが朝方の6時過ぎだった。

 当然昼過ぎまで起きるつもりはなかったのだが・・・・・。


 ドンッドンッドンッドンッ。

 

 誰かが部屋の扉を力一杯叩いているようだ。

この建物は築30年。鉄筋コンクリートで建てられているといっても限度というものがあるだろう。

 あきらかに力加減がおかしい。


 俺は眠いまなこを擦りながら、目覚まし時計で時刻を確認すると、まだ朝の8時数分前だった。


 「何だよ、こんな時間に」


 不満げな顔をし目覚まし時計をフローリングの床に置く

と、ゆっくりと立ち上がり『うぅぅぅん』と喉の奥から息を吐き出し天井に向かって両腕を伸ばす。

 まだ残っている眠気を払おうとしていた。


 未だ扉を叩く音が止まないので返事をしようと扉の方へ歩き出したその時、


 ドガァーン


 どうやら扉を叩いていた人物が部屋の住人が返事一つしない事に業を煮やし、扉を蹴破って入って来たようだ。


 ビックリして体がまた固まってしまった。


 でも誰が扉を蹴破ってと考えるが、そんな事をする人物等一人しかいなかった。

 そういや今日はアパート代の収金日。って事は・・・。


 「海坊(かいぼう)~、金払え。金が無けりゃ体で払いな。目でも耳でも心臓でも二つあるもんは片っぽ売っぱらっちまいな」


 とんでもない事を口走りながら俺に襲いかかってきた

人物。天神荘(てんじんそう)大家、天上 優香(あまがみゆうか)その人である。


 大家さんは俺の襟首を締め上げながら『金払え~、金払え~』と恐喝まがいの事をしてくる。毎月の事だ。


 いつもはここまで酷い人ではないが、1円でも金が絡むと容赦なく襲いかかってくるのだ。

 決して体の大きい人ではないのだが何故か、『逆らうな!』と大家さんと戦う事を心が拒否している。

 未だ何者なのか解らない。


 更に締め上げる力が増してくる。

 天然パーマの白い髪。年齢は七十位だろうか。

 細身に歳を考えろと言いそうな白いワンピース。

 額にはブラウンの大きなサングラス。

 そんなババアに俺は襟首を締め上げられているのである。


 ずっと締め上げられているからか眠気も混ざり俺の瞼がトロンと落ちてくる。

 それを見て二度寝しようとしていると勘違いした大家さん。


 「寝るな~~~」と、


 俺をフローリングの床に叩きつけるのだった。

 決して自分が締め上げているからなどと1ミクロンも考えないのであろう。


 あまりの衝撃に目を回していると、さっさと俺の財布を見つけ今月の家賃3万8千円を引き抜き、俺の前に財布を投げ捨て破壊された玄関より出ていくのだった。


 「扉はちゃんと直しておくんだよ」と、


 新たな仕事まで押し付けられる始末である。


 完全に眠気も覚めてしまい、ほかにやる事がなかったので早速扉の修理に取り掛かっていると、何処かの部屋から悲鳴が聞こえてくる。

 悲鳴にまじり謝罪の言葉も聞こえる事から家賃を今日まで用意出来なかったのであろう。

 その人が今回どんな目に合うのか分からないが、二度と収金日を違えることはないだろう。

 もしくは自主的にここを出ていく事になるのか。


 そんな事を考えながら修理をする事一時間、ようやくいつもの見慣れた風景に戻った。

 はぁ~と大きなため息をつくと工具を下駄箱に突っ込む。


 休みの日といってもこれまであまりやる事がなかった。

 勿論向こうの世界に帰る為の調査も少しはしてきたが、今まで細かな事はリゼルに任せっぱなしだった為、どうしていいのか俺には分からなかったのだ。


 だが流石に、真面目に調査した方がいいという思いに至り、今日は一日外に出ようと決め財布をズボンのポケットに押し込み、扉に鍵をかけさっさとアパートを離れた。

 まるで大家さんから逃げるように。


 俺は今、住宅街を歩いている。

 こっちにはまだ来た事がなかったな。

 アパートは商店街よりにある。

 だからいつもは生活雑貨の揃う商店街近辺をウロウロしていた。

 

 商店街はアパートから北側にあり、ここ住宅街は南側になる。

 その為今まで見向きもしてこなかった。

 だが今回は違う。今までの分を取り返すのだ。

 きっかけはやはりあの、大家事件である。

 あんな事続けられたらいつか間違いが起きて、ポックリ逝くんじゃないかと思うようになってきた。

 日本の魔王は容赦ねぇ。


 住宅街に入り十五分位歩いていると、そこそこ大きな公園に行き着いた。

 異世界転移に巻き込まれ最初に立った地が公園だった。

 そんな事を思い公園内を見ていると今日は土曜日だからか、母親や幼児に交ざり小学生位の子もちらほら見える。


 流石にずっとここにいる訳にはいかないので離れようと背を向けたその時、公園の奥から僅かながらに魔力の流れが感じられた。

 それも此方を探る様に放たれた謂わば探知魔法のようであった。

 しかしながらあまりにも微弱であった為、上手くその流れを捉える事が出来ずに魔力が霧散してしまった。


 だが僅かながらにも探知魔法を感じられたのだ。

 其処へ行けば何かしらのヒントが掴めるかと思い、公園の奥まで走り抜ける。

 並木道の奥にはぽっかりと芝生の広場が姿を見せる。

 奥の方では二組の家族がレジャーシートを敷きピクニックを楽しんでいる。


 「たしかこの辺りから感じたんだが」


 魔力の流れはとっくに無くなっている。

 もしやと思い微弱ながら魔力を流していると後ろから覚えの無い男の声が聞こえてきた。


 「やはり貴様か」


 その声の方へ振り向くと其処には・・・・。

次回は新キャラ。可愛い系?

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