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女子会と男子会

 御剣家、真矢の部屋。

 部屋の中にはこの部屋の主である真矢の他に、二人の女性が談笑していた。


 一人は黒髪のショートカットで白の半袖シャツに紺のパンツルック。シャツから伸びる腕はスラリと健康的で、シャツを押し上げている胸元と相まってとても魅力的なプロポーションをしている。

 シャツには皴一つ無く、時折眼鏡の位置を調整しながら話す姿はまるで、有能な社長秘書の様であった。

 そのきっちりした服装や仕種からは几帳面さが伺えた。


 もう一人の女性もとても魅力的なプロポーションをしていた。

 ただし、先の女性とは魅力の意味が違っていたが。

 先ほどの女性がバリバリ働くキャリアウーマン的な魅力であるならば、此方の女性はトップグラドルをも越える蠱惑的なプロポーションをしていた。

 かの名作アニメ、有名怪盗の孫を惑わすまさにヒロインの様な。

 ボンと大きくせりだした胸はその大きさに反して垂れる事なくツンと上を向いており、胸の大きさに対して腰は括れ、キュッと上を向いたお尻から太股にかけてのラインが艶かしく、男だけでなく女性さえも振り向かせる程の魅力を醸し出している。

 大きく自己主張するその胸元には、明るい茶髪のウェーブした髪が垂れ下がり、終始笑顔の明るい性格で人懐こそうな印象が伺えた。


 「で、真矢ちゃんは何処までいったのかな?」

 胸の大きな女性がベッドに腰掛け、新たな話題を真矢に振ってくる。

 

 「な、何の事ですか?」

 真矢は何を言っているのか解らないと惚け、この話題を流そうとするのだが、

 「何って、勿論聖也君の事に決まってるじゃない。んっふ~。どう思ってるかなんて真矢ちゃん見てれば解るけど、ここは改めて本人の口から聞きたいかなって……ふっふっふっ、さぁ、キリキリ白状するのだ~」

 両手をクニクニと動かしながら真矢へと迫ってくる。


 「ちょ、ちょっと京子さん。わ、私は別に、そんなんじゃ」

 真矢は京子に抱きつかれベッドに押し倒される。

 京子の方が真矢より背も高く、武道を修めてきた期間も長い。

 傍から見ればただじゃれあっている様に見えるが、その実京子は真矢をガッチリとホールドしており、決して逃がさないと態度で示していた。

 真矢は椅子に座っているもう一人の女性に向け助けを求めるが……。


 「無理よ。京子がそうなったら決して引かないから。諦めて喋った方が早く解放されるわよ」


 「そんな~」

 無慈悲にも諦めろと言われ、心に秘めた想いを語る事になるのかと考えると、顔が真っ赤に染まる真矢。


 「そうそう、葵の言う通り。さて、お姉さんに聞かせてもらいましょうか。聖也君との事」


 「うぅぅ」

 顔を真っ赤に染め恥ずかしがる真矢の姿はとても可愛らしく、ついついギュッと抱き締めたくなる衝動を抑えながら真矢が語りだすのを待つのだった。





 一方その頃、御剣道場では。

 聖也が師匠である清舟と兄弟子の風間と向き合い何やら話しこんでいた。いや、何やら責められている様な……。

 清舟は昨日まで所要で家を空けていたが、帰宅したおり風間の話を聞き何故もっと早くその件を報告しなかったのかと、二人して聖也を問い詰めていたのだ。

 それというのも、海斗達の海行きの件である。

 勿論、海斗が気になる訳で無く、海行きのメンバーに絵里がいたからであった。


 この二人は、以前聖也をだしに絵里の勤めるキャバクラに行き、絵里を一目で気に入ってからは度々個人で通うようになり、聖也が絵里と顔見知りだと知ると何かにつけて紹介をせがむ様になっていた。

 普通であれば師匠や兄弟子から度々せっつかれれば何処かで折れて紹介もしようものだが、聖也からすれば只同じ世界から偶々同じ日本へ来た同胞と呼ぶべきかも微妙な間柄の相手であり、紹介しようにも知り合いだと言える程の間柄だとは思っていなかったのだ。


 聖也の本性は魔剣士ではあるが、闇に染まったといえど騎士道の精神は失っておらず、尊敬する師清舟や兄弟子の風間にたいして知りもしない女を紹介するのかと躊躇っていたのだった。

 その結果、度々くるせっつきにも「知り合いと言える程彼女を知りませんので、どうぞご勘弁を」と、クソ真面目な返しを繰り返す事に相成っていた。

 これには絵里も知らず知らずのうちに助けられていたのだった。

 だが、清舟や風間からしたら顔見知りでも幼馴染みでもどうでもよく、ただ紹介さえしてくれれば良いだけの話だったのだが、思ってる以上に聖也が堅物で、何度せっついても折れぬ聖也にこの頃は、二人の方が折れそうになっていたところでの今回の件である。

 溜まっていた鬱憤が爆発したのだ。


 「何故もっと早くに知らせなかったのだ。ど、何処の海に行っているのだ、聖也」

 全くもって必死に問い質す清舟。この年齢にしてこの情熱である。

 さしもの風間もこれには苦笑いしか出てこなかった。

 真矢がこの状況を知ったら目くじらを立て怒りそうなものだが、逆に京子がこの場にいたら腹を抱えて笑いそうなものだ。

 もしくは葵に知られようものならと考えると、風間はブルルと背中に悪寒が走るのだった。


 清舟の問い掛けに聖也が答える。

 「はぁ。何処の海かまではわかりませんが、一時間前に写真付きのメールが届きました。それで場所が特定出来るかわかりませんが見て見ますか?」


 「なっ、しゃ、写真付きじゃと。あ、天音(あまね)(絵里の源氏名)さんからか?」


 「はい、彼女からです。無事に海に着いたと、水着姿で愉しそうにでしたよ」 


 清舟と風間は「グハッ」と叫びながら後ろにのけ反る。

 (ま、まさか天音さんの水着姿が写真とは言え拝めるとは)

 (しかし師匠。集合写真と言う落ちもあるのでは?)

 (構わん。天音さんの水着姿を拝めるのであれば、むさ苦しい男がおっても一向にに構わん)

 (全くその通りで。むしろむさ苦しい男等我らの瞳に写る事などありますまい。何故なら我等は天音さん一筋。他が入り込む余地など無いのですから)

 (その通りじゃ風間。よう言うた)


 「あの、師匠?写真見ますか?」

 聖也が問うと、


 「「見ないでか!!」」

 見事にハモった叫びが帰ってきた。


 数分の後、聖也が携帯を持って帰ってきた。

 清舟と風間は今か今かと待ちわび、とうとうその時がきた。

 しかし、この後二人は後悔する。

 何故なら、そこに写っていたのはオレンジ色のポメラニアンと、それを嫌そうに抱っこする赤髪男性の水着姿だったのである。

 確かに天音からのメールではあったが、其処には天音どころか女性すらいなかったのである。


 「「アーーーーーーーーーー」」


 御剣道場に二人の絶叫が木霊する。


 この日御剣家では、母家からはキャッキャ、ウフフと愉しげな女性の笑い声が聞こえ、道場からは絶望を奏でる男の叫び声が聞こえてきたという。




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