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神様の日常  作者: キライカミサマ
1/1

神様のハグルマ

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

人という生き物は二つに別れる

一つは【生きている人間】

もう一つは【死なない人間】

誰かが考えた筈だ、この二つにはなんの違いがあるのか…と。

結論としてはこうだ、『違いはない』

この二つは対極的に見えるが実態は紙一重、全くもって相違のないものである。しかし同時に紙一重の差がこの二つは同等、かつ対極的に存在していると考えさせる。

この二つに大した差はない、だからと言っても同じ物ではない、ならば…………



消してしまえばいい。


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

「うーん…………」

ここにもまた1人

『リョーさーん、まだ決まんないの〜?もう待ちくたびれたよ〜ぅ』

「うるさい黙れ、今俺は究極の選択、ザ・ふぁいなるあんさーの最中だ。」

『意味違うし……プッ……』

「刺すぞ」

『サーセン』

赤羽遼(アカバネリョウ)とその親友、尾坂隆光(オザカタカミツ)彼等もまた等しく生きる人だ。

「コカ・○ーラかペ○シネックスか……」

『コカ…』

「黙れ」

『うっす』

「うぬぅ………どちらにするか………」

この二人は世間体で言う高校生だ。しかしこの二人は高校生であると同時に変人でもある。

まず赤羽遼、彼は何故か常に凶器を持ち歩いている、ハサミを取ればカッターを出し、それを取り上げればペンチ、それを取り上げれば次はノコギリ、終いにはついたアダ名が

〔歩く凶器〕〔斬り裂き魔〕〔キリ〕〔狂気のドラ○もん〕だ。

そしてその親友尾坂隆光、彼は普段からボーっとしてたり能天気に、毎日を楽しそうに過ごすが、その様子とは裏腹にいつ勉強しているのかも解らないのに成績は常にトップで、先生生徒から不思議に思われている。彼にもアダ名はあり

〔ザ・ミステリー〕〔クエスチョン〕〔ボーさん〕〔ハムスター〕

と呼ばれている。

ちなみに今彼等は授業中に

「喉乾いた」

『あ、僕も授業飽きたから行くー』

と、言い残し、いつも通り授業を絶賛サボり中だった。

しかし彼等に文句を言う人はいない、理由は簡単である、片方は超のつく危険人物片方は超のつく天才、この二人に文句を言える人は僅かだろう。

「…よし、今日はペプシにしよう。」

『あ、リョーさん奢って〜』

「10万な」

『ゑ』

そんな会話をした2人は屋上に行く、いつも通り屋上に。

階段を登り鉄で出来た重い扉を開けるといつも通りの変わらない屋上に出た。

…筈だったのだ。


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

長井眞白(ナガイマシロ)彼女はこの第三樋代(ヒシロ)高等学校の特別学級に通う女子生徒だ。彼女が何故この特別学級に居るのか、彼女は身体や心に障害があるわけでもなく、自身の容姿や性格に問題があるわけでもない。

彼女はこれと言って欠点があるわけではないのだ、ただ一つの実にシンプルな理由。

〔人間が嫌い〕

それだけだった。

長井眞白の日常は退屈そのものだ。他の生徒に会わない様に学校へは10時に登校、昼食は朝と同じく人に会わない様に1時に食べる、そして自習をした後他の生徒が帰るまで屋上に居る。

それが彼女の日常だ。

「………………………。」

彼女は他の生徒が授業中の時僅かな時間屋上に行くことがたまにある。彼女が屋上に来ている時に人が来ることはない、屋上に来る人は少しだがいるが、彼女に会うことはない。

屋上のフェンスにもたれ掛かりながら彼女は何処までも広く青い空を見上げていた。

ふと彼女はフェンスに寄り掛かるのをやめて、フェンス越しに下を見下ろした。

彼女はつい思ってしまう。

屋上には誰もいない、私を知る人はいない、この日常は変わらない。

ならば、死んでも良いんじゃないか……と。

彼女の考えていることは間違いではない、むしろ正解ですらある。

人が死ぬ、それは非日常ではない。

人が死ぬ、それは日常ですらある。

ならば、1人死んでも、変わらない。

ならば、生きてても、変わりはない。

どうせいつか死んでしまう。

どうせこのまま変わらない。

ならば、ならばならばならばならばならばならばならばならば、ならば、ならばならばならば。


〔消えてしまおうか〕


彼女の日常は今日で終わりを迎える、これも運命なのだろう。しかしこの運命は偶然と必然により、変わることもある。

彼女がフェンスを乗り越えた瞬間、鉄で出来た重い扉が開いた。


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


この3人は何を思って、生きるのだろうか。

人と生きて楽しい。違う。

人と関わらない。違う。

正解はないんだ、神様はいるようで居なくて。

遠くにいるようで、近くにいるから。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

赤羽遼、尾坂隆光、この2人の前にはまさに人生でそうそうない偶然があった。

長井眞白、彼女の前には非日常があった。

「お…おい………何して……」

「ひっ!!」

遼が見た事もあった事もない彼女に話しかけた瞬間、彼女は顔を真っ青にして


落ちた。


「『!!!?』」

彼等は焦る、目の前で屋上から落ちる女子生徒、落ちれば、死。

赤羽遼は踏み出し、フェンスを乗り越え、飛び降りた。

彼女を空中で捉え、彼女を包むようにしながら、彼は落ちた。

………………………………………………………………………………………………

眼を覚ますと、見知らぬ天井があった。白くて、綺麗な天井。

「あ……………。」

声が出て来ない。

「……………………。」

身体に感覚がない、だが何故か心地いい。

自分は死んだのか、それとも生きているのか、もしかしたらどちらでもないのか。

自分が解らなくなり始める。

でも、このままで居たい。

これが夢なら、覚めないで欲しい。


【まだ、早い。】


「……………………ぇ………………?」

…………………………………………………………………………………………………

『リョー!!リョー!!起きろ!!!!おいリョー!!』

起きると隆光が俺に大声で話しかけてくる。

「…ッセェな……聞こえてるし、起きてるよ…………。」

いつもより少しだけ枯れた声で答える。

「つか、なんってぇ面だお前、何をマジ泣きしてんだよ……。」

『リョーさぁぁぁあああああああああああんんん!!!!!!』

「やめろキモい。』

抱き付いてこようとする隆光を抑え、起き上がろうとする、しかし起き上がれない。

「……………………?」

何か違和感を覚えて腹の方を見ると。

さっきの飛び降りたクレイジー女が居た。

「……………………。」

「…………んん…………。」

「いつまで人の上で寝てんだこの馬鹿女ァ!!!!」

「!!!!!!?」

ビックリしたように眼を開けて、起き上がる、クレイジーガール。

俺に気付いたのか、顔を真っ赤にした後真っ赤な顔を真っ青にして俺から離れた。

「すっ!!スクススススイマセッン!!!!」

「黙れ。」

「はい!!」

遼はゆっくり起き上がり、指を鳴らして、長井眞白、彼女を見つめた。

そして第一声

「フザケんな。」

いつもより怖い顔で初めて会った女子生徒を睨み、話す。

その遼の顔を見ながら、顔を真っ青にして話を聞いている眞白。

そしてそんな2人を見ながら、困ったような顔をしている隆光。

この3人はここで何を思っているのか、それは誰にも解らない。

だがただ一つ言えるのは、ここで彼等3人の運命という歯車が絡み合い、廻り始めた、ということだけだ。

運命というのは人によって変わる。

運命は偶然によって変わる。

運命は必然によって変わる。

神様は人に人生を与えない。

神様は人に幸福を与えない。

神様は人に不幸を与えない。

人生や運命というものを一つの機械と言うのならば、人間はきっと機械の歯車だろう。

その歯車はまた廻り始めた。

別の機械(ジンセイを作るために。


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