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第十二章

 野次、嘲笑、笑い声、雑談が入り混じった人々のざわめきが鮮明に聴こえる中で、踊り続けるロジェの呼吸音は荒く、全身から大量の汗が噴出している。

 それでも、ロジェの表情は、活き活きと輝いている。

 観客達の反応から得た感情や身体の奥底で次から次へと溢れてくる想いが幾重にも絡みあい、渦を巻き、吹き荒ぶ嵐のように渾然一体となったものを表現したい、という一心で、ひたすら、身を躍らせ、手に持っていた短剣を手首で返し、軽やかに舞う。

……まだまだ、やれる!!

 と、思った矢先に、場違いな笛の音が大広場全体に鳴り響く。

 そして、

「十分経過しましたので、終了です!!」

 祭術師達と観客達の境目となっている空間に位置取った進行役の男性が声を張り上げた。

 観客達の反応を確認するように眺めると、一呼吸の間を置き、大きな身振り手振りと共に進行役の唇が開き、

「そして、これを持ちまして、昼の分における各都市の祭術師達による競演の項目を全て終了させていただく事になります。ここにいる皆様方には、最後まで選りすぐり祭術師の方々によるパフォーマンスをご拝聴して頂きまして、本当にありがとうございます!! もし、有意義な一時、だと感じてくだされば、我等の幸いとなり、光栄に思います。昼の部はこれにて、お開きとさせて頂きます。勿論、夜の部もございますので、その時まで、楽しみにしていて下さい。場所は、同じく大広場で行われますので、お間違いないように!! それでは、皆々様方、我等はこれで失礼いたします」

 と、最後の言葉を言い放ち、腹付近に掌を返した右腕を添えて進行役は上半身を深く折り曲げる。

 数秒間、そのままの姿勢でいた進行役の男性が身を起こすと右を支点に腰を捻り、そそくさと移動を開始し始める。

 進行役が去ったのと同じタイミングで、祭術師と観客達の緩衝材として持ち場に着いていた警邏隊の者達が少しずつ離れだしていく。

 都市の喧騒が戻りだす。

「あっ……」

 終わってしまった、と口内で名残惜しそうに言葉を転がしているロジェがそう意識した途端、全身に疲労感が一気に圧し掛かってきた。

 両脚が震えだし、身体中の力が抜け切ったような感覚に囚われ、膝の上に両手をついた姿勢となる。

 かはっ……、と肺の中にあった空気をほとんど吐き出した。

 進行役の言葉が全体に伝わった瞬間、声が一斉に止むと同じタイミングで大広場を覆い尽くしていた人々の熱気や雰囲気が一瞬前のものとは大きく様変わりする。

「はぁはぁ……」

 テンポの異なる呼吸音だけが大広場にいる人達全員の耳に聴こえていた。

 だが、それも数瞬が過ぎ去った時には、

「お前達。今回も良かったぜぇ~~~」

「ジェローム派の連中相手にかなり勝ってたぞぉ!!」

「今年も楽しかったわ~~~!!」

 わぁ、という歓声が轟き、拍手の音が鳴り響く。

 イベントが終了した事を切欠に警備網を緩めた事で、解放感一杯となった観客達が祭術を披露し終えたばかりの祭術師達に歩み寄り、陽気に声を掛けていき、メインストリートの大広場は、イベント中以上の騒然とした状況を呈するようになっていた。

 観客一人一人に囲まれる己の出番が終わった祭術師達も含めて、小さな輪がいくつも構築されている。

 だが、ロジェの周囲にはぽつんと空間が開いており、喧騒の輪から外れていた。

 呼吸を整えているロジェの耳に入ってくる観客達が思い思いに口にする言葉の類や拍手喝采は、自分にはまったく無関係のものである事を理解している。

 唯一例外あるとすれば、自分自身への野次や嘲笑だけ。

……まぁ、野次などはやる前から十二分に分かってた事だから良いんだけどね……別に。

 自分に言い聞かせるようにして胸中で呟いている所に、

「お疲れ~~~!!」

「ロジェお兄ちゃん!!」

 と、聞き覚えのある声に反応したロジェは、ゆっくりと両手を膝上から離して直立の姿勢を取る。

 真正面から左に上半身を捻り、辺りを見回す。

……左じゃないとすると、右に居るのかな?

 振り向く。

 十数メートル先の位置。左右の腕を大振りで動かしているリリーとフィルマンと片手を振っているジャンの三人組の姿があった。

「……あの三人、来ていたのか」

 と、ポツリと囁き、三人組への返事として片手を揺らす。

 ロジェの視線と反応が自分達に向けられたものだと悟った三人組は、駆け足気味でロジェの所に近付いてきた。

「お疲れ様です。ロジェさん」

「アンタが祭術を披露する所を始めて見たわ……。かなり下手だったのね」

「リリーちゃん!? 本人を前にして言う事じゃないよ。それって!?」

 リリーの右肘の裾を少し引っ張り、フィルマンは小声で言った。

「フィルマン君。良いよ。僕は気にしてないから」

「でも……」

「お姉ちゃんもそう言っていたじゃない?」

「お姉ちゃん……って、もしかして、彼女も一緒に来てたのか!?」

 お姉ちゃん、とリリーが呼んでいる相手が自分も知っている人間の中で、アニエスただ一人である事に、ロジェの脳裏で瞬時に繋がっていた。

 まだ、この場にいるかもしれない、と慌てて視線を巡らせていると、

「そうよ。お姉ちゃんと一緒にアンタの下手な祭術を見ていたんだから……。あれ? そういえば、お姉ちゃんはどこに行ったの?」

「アニエスさんなら、もう帰っちゃったけど?」

「「えっ!?」」

 ロジェとリリーの声が重なり、二人はジャンに顔を向けていた。

「気が付いてたんなら、教えなさいよ」

「あぁ……。そうだな」

 頬を人差し指で掻きながら奥歯に物が挟まったような口調で応えるジャンの様子を不思議そうな眼差しでみつめるリリーは、言葉を紡ぎだす。

「なんだか、歯切れが悪いわね。ジャン。お姉ちゃんに何かあったの?」

「いや、多分だけどな? 顔色が蒼ざめていたからさ……。もしかしたら、体調が悪かったんじゃないか、と俺は思う。だから、先に帰ったんじゃないか?」

「そういえば……、確かにいつものお姉ちゃんらしくなかったわね」

「そうだよ。途中で涙を流していたもんね。……アニエスお姉ちゃん、大丈夫かな?」

 表情を曇らせるリリーとフィルマン。

 三人組の会話を余所に、ロジェは、アニエスがどのタイミングでこの場にいたのかは分からない。それでも、自分の祭術を少しでも見てくれた可能性を知り、安堵の吐息を漏らす。

 ふと、ジャンと視線が行き交う。

 ? と疑問符を浮かべていると、彼の方から近付いてくる。

「どうしたの? ジャン君」

「あぁ、いえ。ロジェさんにだけは言っておこうかと思いまして……。えっと、耳元を貸してください」

 要求どおりにロジェが中腰の姿勢になると自分の耳にジャンの唇が近付き、俺の勘違いなら良いんですけど……、と前置きした上で囁きだす。

 その内容は、ロジェの祭術を見始めてからのアニエスの言動などについてであり、彼女の変化に思わず、これ以上ないというほどに大きく目を見開く。

 話し終えた事で人心地ついた面持ちになったジャンは、ボサボサ髪の少年から離れる。

「話してくれて、ありがとう」

「い、いえ、俺の聞き間違いの方が高いわけですから……」

「それでも……、本当にありがとう」

 穏やかな声音で幼いカルカソンヌ人の男子の言葉を遮った。

「こらーーー!? アンタ達。何をこそこそと話しているのよ!!」

「いや、こそこそと話してないよ」

 ロジェが立ち上がると共に微苦笑を零して、こちらを指差ししているリリーに向かって、そんな事はないよ、と片手を横に振ってアピールした。

 ふぅん……、と、喉を慣らして、訝しげに見遣るリリーに、とりあえず、彼女の事は僕に任せてくれ、と言葉半分も発しない内に、

「そこの異邦人の少年、ちょっと良いか?」

 と、背後から声を掛けられる。

 異邦人、と名指しされた事で、それが自分自身である事を十二分に把握していたロジェは、声の主と対面する為に方向転換する。

 振り返った先には、記章を片方の肩に付けている祭術師四人が二列になってロジェ達の方に進み、三メートル付近で移動を止めた。

「何でしょうか?」

 ロジェが発する疑問の声に応えるのは、右側の先頭に立つ赤銅色をした短髪の男性が唇を開き、

「いやぁ~、向こう側の祭術師なんて珍しいから声を掛けてみたくなったのさ」

 右側の先頭に立つ男性は、気さくそうに話しかけた目的を述べた。

「珍しい……ですか」

「そうそう。なぁ? 皆」

 短髪の男性が仲間達を見遣ると、残りの三人も次々に肯定の言葉を発する。 

……この四人は、エンリコ派の人達か。

 四人の素性を流し見て確かめている間に、リリー達がロジェを盾にするような形で次早に背後の方へと身を隠していた。

「あらら? お前の顔を見て、子供達が怖がっちゃったじゃないか」

「……はぁ」

 右側の短髪が愉快そうに左側の先頭にいる男性に喋りかけると、その男性は、子供達の方を寂しそうな眼差しで見つめた後、両肩を落とす。

 その姿を見ていた先頭二人の後方に控えている二人は笑い声を立てている。

「という訳で、このおじさんは怖い顔しているだけで、ちっとも怖くないから大丈夫だよ」

 短髪の男性がそう言うと、おずおずと云った感じでリリー達がロジェの背中から離れ、前に躍り出る。

「おじさん達の祭術も凄かったねぇ~~~」

「おっ!? 見ててくれたか。ありがと」

 嬉々として語るリリーに右側の短髪が嬉しさ全開にした口調で言葉を交わし、リリーの頭を優しく撫でた。そこからは緊張の輪が解けたように、子供達の質問攻めに合うエンリコ派の四人は、苦笑を浮かばせながらも、一つ一つ丁寧に答えていく。

 子供三人組と祭術師達のやり取りを呆然と眺めていたロジェは、ある事を懸念していた。

 幸いにも今のところは、その予兆がない事に胸を撫で下ろし、ただ、ひたすらに会話が終わるのをじっと堪える。

 だけど、ロジェの予想に反して、嫌な予感は見事に的中する。

「そういえば、君はどこの旅団に所属しているんだ? 去年は見かけた覚えがない気がするし……、だとすると新参の者だよな?」

「えぇ……、そうですね」

 右側の短髪からの質問に、ロジェは彼から視線を逸らさずに返答した訳ではあったが、内心では体温が急降下していく気分に晒されていた。

「その記章は、どこの都市の物?」

 好奇心に溢れんばかりの視線と口調で問いかける短髪の男性。

 彼につられるように、自分の肩にある記章を凝視しているエンリコ派三人とリリー達。

……ど、どうしよう!?

 目を伏せて、考えを巡らす。だが、無意識に焦りだしている為に口内にある水分が急速に失って渇ききり、唾をまともに呑み込めないほど思考回路が空転ばかりでなかなか良い案が浮かんでこない。

 いえ、あのー、そのー、という曖昧な言葉しか間を繋ぐ事が出来ず、困窮にしていくロジェは、内面に抱えている不安が露わになり、両眼を忙しなく動かして己の髪に浅く右の五指を立てて掻いてみたり、無意識に右耳の上部に触れていたりしていた。

「どうしたんだ? 体調でも悪いのか?」

 ロジェの明らかな挙動不審に対して、訝しげな視線を送るエンリコ派の短髪とその仲間達。

 一息を入れる。

……こうなれば、出たとこ勝負しかないよなぁ……。適当に見繕って通り抜けるしかない。

「実は、ここの旅団に所属しているんですよ」

「……ここ? って、まさか……」

「はい。商業都市の旅団です!!」

「えっと、あれ? たしか、商業都市って……」

 右側の短髪は、仲間達と目線を交錯させる。

「商業都市には旅団がなかった、と俺は認識しているんだけど、間違っていたっけ」

「あぁ……、間違ってないと思うぞ。俺もそう覚えているし。お前なんかはどう?」

「いや、俺も旅団があるなんて事実は知らないよ」

 エンリコ派の四人は、次々と己の脳内にある記憶を引き出して、現実の認識と照合していた。

「そうですね。貴方達が知っている通り、今まで無かった。ですが、新たに新設される予定なんですよ。その発表がまだという段階でして、いつ発表するのかと云った日取りは、僕はそこまで詳しい事は知らされていませんので……、これ以上はなんとも言えません」

 小さく頭を左右に振りながら、滔々と述べる。

……よくもまぁ、こう、自分で思うのもなんだが、すらすらと嘘が付けるもんだなぁ……。

 自身の語り口に、胸の裡では苦笑を零す一方で、嘘が見破られてしまうのではないか? とかなりの肝を冷やしていた。

「ふぅん。新設ねぇ~~~。それは初耳の情報だな。みんなもそう思うだろ?」

 エンリコ派の短髪が仲間達に相槌を求め、それぞれが肯定の意味で首を縦に振る。 

「なぁ、君んとこの団長に会わせてくれないか? 新設された旅団の団長は、どんな人がやっているのか。気になってしょうがなくてね」

「そ、それは……」

「なんか、まずかったかな?」

「い、いえ。そういう訳ではないのですけど、いかんせん団長はどこほっつき歩いているのかが分からない人でして……。所在が掴めなかったりするんですよねぇ」

 出鱈目の事を呟きながらロジェは、あはは……、と乾いた笑い声を立てる。嘘に嘘を重ねた結果、墓穴を掘る羽目になった自分自身に対して、あの時、別の言い方をすれば良かった、と後悔の念が胸を過ぎる。

「それならさ!! 旅団本部に連れてってくれよ」

 短髪の男性からの申し出に、えっ……、と声を漏らすロジェの表情が固まる。

「お前……。そのお願いはさすがにこの子が可哀想過ぎるだろ」

「そうだな。コイツの意見に俺も賛成」

「うんうん」

「えー、良いじゃないか。お前ら新設された旅団本部がどんなものか見たくないのかよ」

「俺はお前ほどに好奇心旺盛じゃないしな」

 仲間達に諭され、不満げな顔色を露わにする短髪の男性。

「アンタ、アジトを持っているの!?」

 ロジェを見上げるリリーの翡翠色の瞳に宿る光彩が少し前に比べて、その輝きを増して放っていた。

 フィルマンとジャンもリリー同様に自分を見つめる両眼には好奇心いっぱいにして活気に溢れているのが一目見て分かるほどに、三人組が何を考えているのかが手に取るように理解できてしまい、ロジェは、絶句したまま口を開閉させる行為を意味もなく、何回も繰り返す。

「ほら、子供達もそう言っているんだから、行こうじゃないか!!」

 短髪の男性は、リリー達に混じって、えいえいおー、と片方の拳を天高く突き上げていく。

 その様子を傍らで見ているエンリコ派三人は、呆れ果てた面立ちで溜息をついたり、項垂れていたり、やれやれ、とばかりに首を横に振っていたりしていた。

 ロジェは、彼らの反応から見て、行く方向に固まりつつある事を察する。

……やばい。この子達まで巻き込んでしまっては、行かざるを得ないことに!?

 自業自得とはいえ、頭をフルに働かせた所で状況を打開する手立てが思い当たらず、手詰まり状態に陥っていた。

 場を繋ぐ会話をどれだけ喋ろうとも、時間稼ぎには限度がある。

 ふと、自分が無意識に両手を力強く握り締めていた事に気がつき、拳を解く。

 何気なく、左右の親指で掌の表面を擦ってみると大量の汗によって粘り気が作られており、気持ち悪さを覚えた。

……どれだけだよ。まったく……。なんでこんなに緊張する必要があるのだろうなぁ……。

 ふぅ、と深く息を吐き、両肩を下ろした。

 落ち着け、とロジェが念じ始めている最中に、

「よぉ~~~!!」

 と、背後から声を掛けられ、その一際目立つ大音量で鼓膜を激しく打った。

 肩越しに振り向かなくても声の主が誰なのかが瞬時に判断できるほど数日間とはいえ濃密の時間を過ごし、また、この打開できずに頭を悩ませている場面に置いては、ロジェ自身にとって、救世主となりうる相手であった。

「最後までやり遂げたな!! ロジェ、良くやった!!」

「モンド……」

 ロジェは、身を反転させて、こちらに歩み寄ってくるモンドの姿を視界に捉える。

 モンドの登場に、エンリコ派四人とリリー達が目をぱちくりとさせていた。

 そして、複数の物問いたげな目配せが自分自身に集中している事を察したロジェは、その理由がこの場に現れた登場人物を唯一知っているのが自分しかいない事にあると判断し、彼が自分にとって、祭術の師である事を述べた。

 納得した、という首肯したと共に、モンドに剣呑とした眼差しを向けるエンリコ派四人。

 興味深そうにロジェの師を見上げるリリー達。

……よし、これで口裏を合わせて話を運べば、この場は乗り切れる。

 と思い、モンドを呼びかけようとした瞬間、

「貴方が彼の所属する旅団の団長?」

「ん?」

 エンリコ派の短髪が手短に発した問いに反応したモンドの片眉が少しだけ動く。

 音にならない段階の声を絞りかけていたロジェは、口を半開きにさせたまま言葉を失っていた。

 しまった!? と内心で焦りを抱き、この場の流れを変えられる、と自分が楽観視していた部分が脆くも崩れ去る。

 条件反射的にロジェの両眼がモンドの顔を捉えようとした時、彼の視線と交錯する。

 師匠の面差しには、ただ一つの感情が露わになっていた。

 愉快、と。

 そんな師匠の様子に、

……どういうことだろう?

 と、疑念を抱き、小首を傾げつつも事態の推移がどう転ぶのかを見極めようと静観する。

「なんだ……。この坊主がバラしちゃいましたか。まったく、あれほど正式発表が行われる前にこの事は喋るなって言っといたんですがねぇ……」

 モンドは、ボサボサ髪の少年の頭頂部に手を置くと乱暴に撫でる動作を行う。

「君は、このリール人に祭術を教授してもらっていると?」

「はい。……それが一体なにか?」

 短髪の男性が発する声音を耳にした瞬間、無意識に唾を呑み込み、背筋が凍えていく錯覚に陥ると共に、それがロジェの心にある警戒心を煽り、己の口調を固くさせていた。

「それなら今すぐ、止めた方がいい。リール人なんかには、本当の祭術がなんたるものかを全然分かっていない連中ばかりだから……」

 間違いを犯してしまった子供に対して、優しく諭すように語る短髪の男性。

 彼の言葉を肯定するようにエンリコ派の三人も深く頷きを返しているだけであった。

 リリー達は、エンリコ派四人の雰囲気が一辺した事を敏感に察したのか、ロジェの背後に隠れるように移動していた。

 モンドは、参ったな、とばかりに口の端を右側だけ歪めて、後頭部をひとしきりに掻き始める。

 ロジェは、対照的な感情を宿すモンドとエンリコ派四人の表情を交互に見遣る。

「あー、うん。そういうのは俺としては別にどうでも良いんだけどなぁ……」

 溜息混じりに呟くモンドの声は、勿論、エンリコ派四人の耳にも届いており、

「「どうでも良い訳ないだろ!?」」

 エンリコ派四人の叫び声が見事に調和する。

 モンドは、めんどくさいなぁ、という思いを見事に表わした渋面を作り、

「うん。どうでも良い訳ないよな。俺が悪かった」

 と、謝罪の謝の字も感じられない謝罪を口にした。

 エンリコ派四人は、互いに顔を見合わせながらモンドに何を言っても無駄である事を認識すると嘆息をつき、首元を落とす。

「このおじさんが本当に君の師匠なのか?」

「えぇ、僕の師で間違いないです。自分でも疑いたくなる時がありますが……」

 咳払いした後でエンリコ派の短髪は、モンドに目を向ける。

「何故、祭術師であるにも関わらず、貴方は、この子に祭術の手解きをしなかったんです?」

「どうしてそう思うんだ?」

 モンドは胸元近くで左右の腕を組み、右の指先を顎に当てて疑問の声を放った。

 目の前に居るロジェの師の態度に、眉間に皺を寄せたエンリコ派の短髪は、ボサボサ髪の少年がいる方向に片手を向け、

「この子にはまだ、祭術師としての実力は未熟すぎる。それなのに……あのような場を乱すような祭術を教えるなんてのは、師匠の役目として失格だと思わないのか!?」

……場を乱すような祭術? そういえば……。

 ロジェは、そこで祭術を扱っている途中で聴こえてきた野次と嘲笑以外に、他の祭術師達から感じ取っていた一つの事を思い返す。

 あの時は、ただひたすら、祭術に夢中で視線が交錯する刹那に祭術師達の両眼に宿る感情の意味を深く考えていなかった。

 だけど、いま思い起こしてみれば、訝しげな、それでいて迷惑そうな視線は、自分に対するものであったのだ、と理解に至る。

……あれは、そういう事だったのか。

 一人得心しているロジェの傍らで、モンドとエンリコ派四人の短髪の会話は進む。

「……ふむ。もし、そうだったとしてもこの坊主の祭術一つで場が乱れるんだったら、それまでの祭術を扱っているという事になりかねないと思うぞ?」

「なんだと!?」

 怒鳴り声を上げるエンリコ派の一人がモンドに殴りかからんばかり勢いで進みだしていくのを短髪の男性が片腕で制する。

「……確かに貴方の仰る通りかもしれない。しかし、それならば、貴方は決して祭術師ではないという事になりますよ。あのようなデタラメな動作を許容する祭術体系は、見た事も聞いた事もない」

 エンリコ派の短髪は、己の目で見てきたロジェの祭術を否定するように首を横に振る。

 そして、だからこそ、と短髪は、前置きしてからボサボサ髪の少年をちらりと横目で見て、

「こんなリール人が居る旅団じゃなくて、俺達の旅団に入らないか?」

「えっ!?」

 突然の申し出にロジェの脳が発言の意味を理解するのに数拍を必要とし、反応が鈍る。

「それは、おまえさん方が好きに呼べばいいだろう。……ただな? うちの旅団メンバーを勝手に引き抜かないで貰おうか」

「へぇっ!?」

 またしても、ロジェの思考速度が遅くなり、あまりにも素っ頓狂な声が零れる。

「なんて声を出しているんだ。坊主は……」

 その様子を目にしていたモンドは、呆れ気味に呟く。

「あっ……。いや、だって……」

……うちの旅団メンバーってどういうこと!? ……確かに、旅団に入っている嘘を付いたのは僕だけど、それはモンドが来る前に言ったものだし……。なのに、こうも口裏も合わせずに話が進むなんて事がありえるのかな? いや、もしかして、モンドは、この状況から会話の流れをいち早く察したってことなのか!?

 モンドの発言が追い討ちを掛けるように頭の中を混乱させる要因となり、言語機能がまともに発揮しきれずにいた。

 と、そこに右肘の裾部分をくいくいと引っ張られ、条件反射的にその方向に目線を動かしている間に、

「何をそんなにあたふたしているのよ?」

 リリーの小声が聴覚に届く。

 微かに息を呑み込みながらも、こちらを見上げているリリー達の姿を視界の端で捉えた途端、混乱状態に陥っていた脳内が一気に鎮まりだしていく。

 ふぅ、と一息を入れ、

「そんなにも焦っている風に見えたかな?」

「そうよ。ね? フィルマン、ジャン」

「うん」

「リリーの言葉通り、俺にもロジェさんが落ち着いていないように見えましたよ」

 そっか、と言い、口元を三日月の形にさせる。

 顔を真正面に戻し、エンリコ派四人を見据え、

「旅団へのお誘いは非常にありがたいのですが、この方に師事する事を望んで自分から弟子になった身ですから……、お誘いはお断りさせていただきます」

 と、断言する。

 ボサボサ髪の少年の返答に、目を丸くしたのも一瞬、すぐに表情を切り替えたエンリコ派の短髪は、静かに言葉を紡ぎだす。

「ふぅん。……それは残念だね。まぁ、何かの機会があれば、また会う事になると思うだろうし、気が変わったら俺達の旅団に来れば良い。どちらにせよ、ジェローム派では祭術の本質に迫れないからね」

「いえ、僕はジェ……」

「そうだな。どうせ、来年になれば、また会う事になるだろうな」

 ロジェが言い終わる前にモンドが言葉を覆い被せてきた。

「来年? あぁ、そういう事か。しかし、この都市にも旅団が出来たとなれば、もう他の都市から招待する必要性もなくなるはずですが……?」

「一年やそこらでいきなり他の都市との関係を断ち切る訳にもいかんだろう。それに、旅団メンバーも少ないしな」

 そういうものですか、と納得しているエンリコ派の短髪に、おい、そろそろ戻らないか、と仲間の一人から声を掛けられる。

「えっ? あぁ、分かってるって……。俺達はこの辺で切り上げますので、じゃあ、またね」

 ロジェと子供三人組に話しかけたエンリコ派の短髪は、身を翻して、仲間達と一緒にこの場を去っていく。

 リリーとフィルマンは、右腕を垂直に伸ばしてから横に大きく何度も振り、ばいばーい、と叫んだ。

 ロジェとジャンは、胸元より少し上の辺りで軽く右手を左右に動かす。

 エンリコ派の四人は、こちらに気づくと立ち止まり、肩越しに振り向いて、一度だけ片手を左右に振ってから前進を再開する。

 エンリコ派の四人の姿がこちらの声が聴こえない距離まで遠ざかったのを確認した上で、安堵の肩を下ろしてから隣にいるモンドを流し目で捉え、

……どうにか切り抜けたけれど、それにしても、どうして、僕の嘘に乗っかってくれたのだろうか?

 という疑念が胸の中に疼く。

「モンド、話したい事があるので場所を移し変えても良いですか? ここだと声が聞こえ難いので……」

「ふむ。俺も坊主に用件があったから丁度良い」

 師匠から了承を得て、人々の熱気や喧騒が一向に静まり返らない大広場から歩き出す。

 そして、移動している途中で、子供達三人組と別れる。



「えっ!? あの話は本当だったんですかッ!!!!!」

 ロジェは、声を荒げてしまうほどに自分自身の驚きを思いっきり表わす羽目になっていた。

「おう」

「おう、って、その一言で片付けないでくださいよ……はぁ」

 目の前にいる腕を組んで立ち尽くしているモンドに向かって、情けない声を喉の奥から搾りだす。

 現在、二人がいる場所は、大広場から数百メートル離れた建物群を二つ挟んだ先にある生活路の壁際にいた。

「ん? それとも、嫌だったか?」

「いえ、そんな訳はありませんが……。僕が付いた彼らから抜け出す為の方便に口裏を合わせてくれているのだとばかりに思っていましたので……」

「あぁ、お前、けっこう困っていたもんなぁ~~~。しかし、ああもすらすらと嘘をつけるとは、俺も思っていなかったけどな。坊主は、ひょっとして人を騙す才能があるんじゃないか?」

 愉快げに語るモンドを睨みつけるも、当の本人は気にした様子もなく、闊達に笑い声を発する。

 思わず眉を顰めそうになるのを堪えながらロジェは咳払いを行い、自分自身を落ち着かせる。

「まさか、最初から見ていたんですか?」

「まぁな。坊主の祭術がどんな出来になっているのかも気になっていたから、見ていたのさ」

「……」

 師匠の発言を耳にした途端、一気に全身の力が抜けて片膝を少し落ちかけ、体勢を崩しかけた。

 なにやっているんだ? という意味を込められた視線を投げかけられるも、ロジェは無言で姿勢を元に戻してから、

「それにしても彼らの話ではこの都市には、元々、旅団が無かったそうじゃないですか。それなのに、今になって旅団が設立されるなんて事があるんですか?」

「まぁ……、そこら辺の事情は、追々話すさ。で、坊主はどうする?」

 言葉の含みを瞬時に勘付いたロジェは、一呼吸の間を置き、胸中で浮かび上がった想いを言語とする為に唇を開く。

 それを聞いたモンドは、満足そうに笑みを深めながら頷いた。



 祭術師斡旋所内に設けられた応接室。

 窓から差し込む西日が室内の中央に置かれている長方形のテーブルを照らす。

 テーブルを挟み、向き合う形でモンドとセレスタンが椅子に腰掛けていた。

 モンドは、退屈そうに右脚を左脚の上に載せて背もたれに寄りかかり、セレスタン越しに仰ぎ見ている窓から入り込んでくる橙色の染め上げられた光を眩しそうに両眼を細める。

「人の話を聞いているのか!? 君って奴は、どうして、いつもこう行き当たりばったりなんだよ!?」

 と、セレスタンが叫ぶ声と同時に、右の拳で思いっきりテーブルの表面を叩き付ける。

 室内に重低音が鳴り響き、テーブルが微かに振動する。

……おっと、いけねぇ。

「まぁ、こっちにも色々とあるんだよ。勘弁してくれよ」

 瞳の焦点を親友に戻して、苦笑を浮かべながら応えた。

 セレスタンは頭を振り、あのなぁ……、と呆れ気味に前置きの言を呟き、

「もうすでに、この都市の旅団が新設される噂が広まっているんだぞ?」

「噂って、なんでこうも浸透するのが早いんだろうなぁ~~~」

 親友から睨みつけられるも、意に返した様子がないモンドは、後頭部を掻きながら話を続ける。

「それゃあ、セレスタンの方は順序を踏んでからお披露目をしたかったみたいだけどさ。それが今日だって良いじゃねぇか。どうせ、順序を踏んでいる途中で噂が流れるんだろうから……」

「確かに君の言う通りかもしれないけど、それでも、俺はこの旅団を列島諸国全体に名を轟かせる一歩をだな……」

「あぁ、その事に関して、本当に悪かった」

 親友の言葉に遮って、謝った。

……これ以上、説教を食らったらたまらないからなぁ……。

 と、思う。

「モンド君。今、説教され続けたらたまらないと思って、話を区切ったな」

 そんなことねぇよ、と即座に声を裏返して言い返したモンドは、心中を見透かされている事実に思わず頬を引き攣らせる。

 はぁ……、と親友は嘆息を吐く。

「まったく、どうしたんだよ。あれだけ、旅団の団長になりたくないと言っていた君が突然、あんな場所で宣言するなんて……。昨日の話では、あの少年を祝祭の目玉に紛れこまさせる為の力を貸してくれっていう事だけだったのに、どうしたんだよ?」

「俺も最初はそのつもりだったんだが、坊主の祭術を見た事で祭術を扱う人間としての血が騒ぎ出しちまったんだろうな。もう一度だけ、祭術の可能性に賭けてみたいという気持ちにさせられちまった」

 と、心中を吐露する。

「そうか。しかし、団長の任を了承してくれた事は、嬉しいけど、まさか彼らを探すのは、諦めたわけではないよな?」

 詰問の声色で喋りだすセレスタンに対して、

「そんなわけないじゃないか。ただ、ここ数年間、各地を歩き回っても安否を知る事も出来なったからこそ、今度は、俺がこの都市で旅団を設立したという話をこのまま広がってくれれば、ひょっとしたら、彼らの方から接触してくれるかもしれないとは都合の良いほうに思っているがな。それに……いや、何でもない」

 言葉を紡いでいる途中で、ロジェと一緒にいた少女の姿が頭の片隅で過ぎ去るも、違う、という己の考えを振り払うように首を横に振ってみせた。

「そういう事なら良いんだけどさ」

 口の端を吊り上げるセレスタンであった。




 二人は互いによく己を理解してくれている人物に視線を逸らして、口を閉ざす。 

 応接室につかの間の静寂が訪れる。

 ふぅ、と一息を入れたモンドは、言葉を交わさずとも、こうして落ち着いていられる空間を親友が作ってくれた事に対して、口にするのは恥ずかしいからこそ、心の中で感謝する。

 列島諸国には、もうすでに自分の居場所はないものだと覚悟していたモンドにとって、もしかしたら、自分を知ってくれているセレスタンの存在は、貴重なのかもしれない。

……それはそれで、こんなおっさんだけってのも哀しいよな。うん。

「そういや、おまえって嫁さんいるの?」

「どうしたんだよ? 急にそんな話をして……。まぁ、いるよ」

 頬を人差し指で掻きながら照れた表情で答えるセレスタンに、ほぉ、と感心した声音が喉の奥からこぼれ漏れる。

「いやぁ~~~、そうか、そうか!! 昔はあんなにも俺と一緒に女遊びに明け暮れていたセレスタンが今や、家族を持つようになったのか!?」

「モンド君。声が大きい。それに、女遊び云々の下りを大声で話すなよ……」

「そんな固い事を言うなって。どうせ、昔の話なんだからさ。それじゃあ、今は家族と共にここに暮らしているのか?」

 嬉々として質問すると、親友の顔色が一瞬だけ変化する。

 寂しさを伴わせたものに。

 ? と自分が疑問符に浮かべている間にも、一呼吸の間を置いてからセレスタンが話し始める。

「家族とは離れて暮らしているよ。理由は……。まぁ、そうだな。お前になら話してもいいか。祭術師狩りが起きた時にな? 俺が市議会の書記員を勤めていた都市の門前で彼らが助けを求めていたから、一時的にとはいえ、匿ったんだよ。そして、彼らを逃がした後で、その事が後々、市議会に露見して大問題となったんだよ。その結果、俺はこの商業都市に左遷される羽目になったんだよね。家族はさすがに見知らぬ土地よりも見知っている場所で暮らした方が色々と良いから、置いて行く事にしたんだよ」

「……そうか。ありがとう」

「君にありがとうって言われると、背筋が痒くなるからやめてくれよ」

「なんだよ。それ……」

 と、モンドが声を発すると同じタイミングで、二人は顔を見合わせると爆笑して、ひとしきり室内に響き渡る。

 両者ともに笑い声が止んだ頃合にセレスタンのがさらに笑みを深め、

「なにはともあれ、これからまたよろしく頼む。相棒」

 と、茶目っ気たっぷりな声音で言った。

 両眼を三日月の形にさせたモンドが中腰の姿勢をとり、おうよ、と応えてから右手を伸ばす。

 悪友の意図に気づいたセレスタンも中腰になり、モンドの右手を己の左手で掴み、握手した。



 縦長に伸びている仄暗い空間がある。

……ここに来るのも三回目になるのか。

 左手に持っているランタンを前に翳しながらロジェが螺旋の階段を一歩、また一歩と登り詰めている。

 階段を囲う壁は石積みで構築されており、外の気温とは対照的な冷涼な空気が夏場で火照った肌に心地よく感じ、自然と頬が緩む。

 だけど、

「あっ……」

 首が少し後ろに傾きかけたと同じタイミングで条件反射的に右の前腕に口元を当てて、

「くしゅん!!」

 くしゃみが零れた。

 仄暗い空間に立ち込めている埃に鼻腔を幾度も刺激して止まず、その度に堪える羽目になっており、壁を四角に切り取られた小さな窓が螺旋の合間をあるだけで換気や光を取り入れるには、不十分である事がくしゃみを繰り返すロジェの現状を示していた。

 歩き続けること約五分足らずにして、ようやく目的の場所に繋がる入り口に辿り着く。

 入り口に足を踏み入れた先には、まず最初に、視界に飛び込んできたのは旧城壁跡の回廊であった。

 のこぎり型の狭間に近づき、顔を横に向けてみる。

 黄金色に空が満たされていき、天高く降り注ぐ光が届く範囲で建物や生活路が鮮やかな色合いに染め上げられていた。

 僕と同じように夕刻時の商業都市を眺め下ろしている人々の姿が回廊に存在していて、彼らの人影が見える。

 入り口とは正反対の位置に存在する人影は、アニエスの足元から生まれており、ロジェがここを再び訪れたのも、クローデットから、妹を迎えに行ってきて欲しい、と頼まれたであった。

 断る事も出来たのだが、色々と世話になりっぱなしの身である以上は、引き受けない訳にはいかないと思ってしまう一方で、アニエスとの会話がこれで最後になるはずだから話したい、と思案している自分自身に思わず苦笑を深めていく。

 風景を眺めている人達の間をすり抜けながら、頭に飾り布を巻いている少女がいる位置まで前進する。

 そして、彼女の横顔に焦点が合わせられる距離まで近づくと小さく息を吐き出し終えたロジェは、唇を開いて少女の名前を構成する音を作り出す。



「アニエスさん」

 ぼんやりと風景を見入っていた最中に、突然、左側から聴こえてきた自分を呼ぶ声に不意を付かれてしまい、息が詰まり、全身を強張らせる。それも一瞬の出来事であり、すぐさま、小さく頭を横に振って気を取り直し、声の主がいる方向に顔を動かす。

「えっ……?」

 視線の先。自分自身にとって予想外の人物が登場した事により、目を瞬かせていると、

「えーっと、ですね。クローデットさんに頼まれたんですよ。貴方を迎えに行ってきて欲しいって。だから、来たんですよ」

 自分の表情から察したのか、その予想外の人物であるボサボサ髪の少年は、己がここにいる理由を打ち明けた。

「……そうなの」

 と、一言を声に出しながら、

……なんで、わざわざ彼を迎えに寄越したのだろう?

 と、姉の心意がいまいち掴み切れず、思考を巡らしてみる。

 ロジェの祭術が終了したタイミングで、踵を返した私が旧城壁の回廊に戻ってきた時には、姉の姿があり、二言三言を交わした後で、

『あたしはそろそろ帰ろうとは思ってるんだけど、一緒に帰る?』

『私は、……そうね。まだ、しばらくはここに居る』

『それなら、先に帰ってるわね。でも、あんまり長居しないようにね? 夕暮れ時は、女の子一人で帰るには危険だから』

『分かってるわ。風邪を引くと手伝いの方に支障が出ちゃうから……、きちんとカメレオン亭の手伝いの時刻に近付く前には帰るから、そんなに心配しなくても大丈夫よ』

『あたしはそういう心配をしている訳じゃないんだけどなぁ……』

『えっ?』

 と、姉とのやり取りを脳内で思い返している事に夢中で、

「アニエスさん? 具合でも悪いのですか?」

 ロジェが距離を詰めながら話しているのを聞き逃し、わずか数十センチの所で私の顔を覗き込むようにして見つめている彼の心配そうな眼差しが両眼に映り込む。

「あっ……、いや、何でもないから」

 アニエスは我に返り、なんでもない、という事を示すように両手を振り、体温が急激に上がっていく暑くのを感じながら、一歩、二歩、三歩と後退する。

「??? ……でも、顔が赤くなってますよ? やっぱり、熱があるんじゃ……」

「それは!? 君がその……」

 声を張り上げたのも一瞬の事であり、あっという間に声量がしぼんでしまう。

「僕がどうかした?」

 疑問符を浮かべた表情で首を捻るロジェの態度に、自分が抱えているもやもやとした想いを脳の片隅で置きざるほど、どうしてだか分からないけれど無性に腹が立ち、

……誰の所為だと思っているのよ!?

 半ば八つ当たり気味に心の裡で言葉を投げつける。

 数秒が過ぎ去り、

「何か言った?」

「う、ううん。なんでもないの。気にしないで!!」

 またも両手を勢いよく振りつつ、内心で冷や汗を掻いているかのような気分に陥ったまま、口早に喋りだす。

「それ……なら、良いんだけどさ」

 どこか釈然としない口調で言葉を紡ぐロジェではあったが、結局、彼なりに納得の落とし所を見つけたのか、それ以上の追及はしてこなかった。

 一拍の間を置き、んっんっ、とアニエスは喉を鳴らす。

 そうする事で、この瞬間にも継続している私の心理状態や自分達の間に漂う微妙な雰囲気をどこかに追いやったと思えるくらい切り替えられる気がした。

 人心地に付いたアニエスは、

……カメレオン亭へ戻ろう。

 その旨をボサボサ髪の少年に告げようと鮮やかな桜色の上唇と下唇が小さく開きかけたその時、

「あの時は、本当に愚人と称される人達の事を何も知らず、身勝手な事を言って、ごめん」

……えっ?

 と、謝られる。

 ロジェが口にした内容を正しく認識するのに数秒もの時間が掛かり、その間に今しがた自分が言おうとしていた言葉が頭の中から完全に消え去っていた。

 あの時、という単語から察するところ、祭術の事柄について、二人して感情的になって口論した時の話をしているのだろう、と瞬時に把握出来たものの、だからこそ、アニエス自身にとって、腑に落ちない点があった。

「えっーと、なんで君がまた謝るのよ?」

 アニエスが視線を彷徨わせたり、飾り布からはみ出している前髪の数本を弄くり回しつつ、当惑を隠し切れない面持ちでどうにか声を絞り出しながら喋りだしていく。

「あの時はまだ、彼らの事を詳しく知らないままでの謝罪だったから……。それからもずっと、自分の中でもやもやとした想いを抱えていて、ちょっとした切欠で愚人、と呼ばれてしまう人達について知る事が出来て、なんていうのかな……。ようやく、そこでもやもやとした想いの意味が分かったんだよ。彼らについて、根本的な部分が無知だった事に気づかされた、というか。なんというか……、だ、だから!! もう一度、謝罪しなくちゃいけないと思ったんだ」

 ボサボサ髪の少年の口から発せられる真摯な声色が回廊全体に吹き付ける夏の匂いを含ませた風の中でもしっかりと響き渡り、宙へと消えていく。

 ロジェが謝罪した以降も彼らの事に関して、心の奥底で引っ掛かりを覚え続けていたのか、と結論に至ったアニエスは、小さく息を漏らし、両肩を下ろす。

……何なんだかなぁ~~~。もう……。

 全身がこそばゆくなり、温かさを伴った何かが心の中へと流入してくる。

 だからこそ、頭に飾り布を巻いている少女は、胸の裡から湧き上がる感情を堪えきる事が出来ず、

「ふふっ、あははっ……。まったく、私はもう気にしてないのに謝っちゃうのかな~~~」

 小刻みに全身を震わせ、小さな笑い声が零れ落ちる。その状態が思った以上に長く続き、左右の目尻に数滴の涙が溜まりだす。

 アニエスは、俯き加減に左右の指先で涙を拭いながら、目線の先にいるこちらを見遣るロジェの呆然とした表情が笑いのツボに入り、さらに止まらなくなる。

 だが、それも五秒、十秒、十五秒とが経過していく中で、ようやく、アニエスの笑い声が静まった。

 この間にも、ボサボサ髪の少年は笑われた事に対する不服さはなく、安堵の両肩を下ろしている。

「ごめん、ごめん。……別に君の事を嗤った訳じゃないから気にしないで」

「それは、貴方の笑い方を見れば分かりますから、大丈夫ですよ」

 目を細め、口元には微苦笑を漂わせて、ロジェがそう応える。

……笑い方???

 疑問に思いつつも、

「そ、そう?」

 としか言葉に出来なかった。

 互いに一呼吸をつくと、二人の周囲には沈黙が下りてきた。

 アニエスは、どうしてだか分からないけれど、次に発するべく、言葉が見つけられない。

 ふと、視界の端に捉えた眼下の風景を横目で確認しつつ、自分の立ち位置から見下ろせる大広場を一瞥して、そうだ、という思いが生まれる。

 もう一度、のこぎり型の狭間側に身体を向け、凹凸部分に左右の掌を置く。

「ねぇ……? なんで、祝祭に参加できたのかを聞いても良い?」

 ロジェを横目でちらりと見遣り、訊ねる。

「それは構わないけど、えーっと、どこから話した方が良いのかな……?」

 右側の髪を掻きながら、話の要点を纏めようと考え、自問していくボサボサ髪の少年に、

「そうね。弟子入りした所からお願い」

 と、言った。

「えっ!? どうして、その事を!?」

 驚きの余り、目を大きく見開いて口を半開きにさせているロジェの反応に、

「この前、たまたま貴方の師匠に出会ったから」

 口元が勝手に緩みだしていくのを抑えきれないまま、端的に話した。

「な、なるほど」

「……そういえば、あの人って私達を助けてくれた人よね?」

「うーん……? そこの所は、どうなんだろう? 僕にもよく分かっていないんだ。本人に聞いてみても抗議集団の人達に絡んだ時は、ほとんど酔っ払っていてよく覚えていない、って言うからね」

 そうなんだ、と相槌を打ちつつ、胸中では別の思いに囚われる。

……あの人、私の出自に気づいていてもその事に関して、一言も口には出さなかったし、態度の方も抗議集団の人々と違って、彼らに対するような侮蔑と云ったそんな素振りをみせていない所を考えると、もしかしたら……。

「君の師匠は彼らの事について、詳しかったりするの?」

「あまり、その事で話し合った覚えがないから詳細な所まで分からないけれど、でも、それなりには知っていると思うよ」

 その根拠は? という意味合いを込めた視線でロジェを一瞥すると、

「モンドの……。あっ!? モンド、というのは僕の師である男性の名前なんだよ。本人曰く、師匠と呼ばれるのは嫌だから呼び捨てにしてくれって言われてさ……。っと、そんな事は、今は良いんだった。えっと、彼が愚人と称される人達の話をしている時の表情や声音がとても穏やかで優しいものに感じられたんだよ。だからこそ、祭術師狩りの話になると、眼差しや口調が一変して何かを必死で堪えているように、僕からはそう見えたんだ」

 彼が語るモンドという名前の人物像を耳にしながら、かの祭術師と以前に出会った時の事を脳裏に思い浮かべて、何かを必死で堪えている……ね、とロジェの言葉の一部分を繰り返し、囁いた。

 ふぅ、という吐息を漏らしたアニエスは、

「それじゃあ、聴かせて。君が師匠と仰ぐ男性と再会して、祝祭の目玉に参加する切欠となった経緯を……」

 ボサボサ髪の少年は、こくり、と頷いてから、アニエス同様、眼下の風景を眺めようとのこぎり型の狭間に向き直る。

 そして、彼は深く息を吐き出してから語り始めていく。




「……という事だったんですよ」

「なるほど、あの時の事が始まりだったのね。それにしても、深夜も練習していたなんて、通りでここ数日のロジェの様子が可笑しかった訳ね」

「そんなにも変だったかな?」

「まぁね。だって、溜め息や欠伸をつく回数がやたら多かったり、目の下に大きな隈を作ったりしているんだから、さすがの私でも君の様子が変な事に気付かないはずが無いわ」

 ロジェの話を聴き終えたアニエスは、最後にそう纏めた。

 そうですか……、とボサボサ髪の少年は力の抜けた口調で呟き、がくりと首を垂らす。

「ふふふ……」

 その姿を視界の端で捉えているアニエスは、全身を小刻みに震わせ、縦向きにした右拳で口元まで運び、柔らかい唇に押し当てて必死で笑いを噛み殺していた。

「そんなに可笑しいですか?」

 ロジェは唇を尖らせながら憮然とした面立ちで、アニエスに問いかける。

「えぇ、可笑しいわね。今の君の顔なんかも面白いわよ?」

 と、楽しそうに応えるアニエス。

 諦めたように首を横に振ってから表情を改めつつ、のこぎり型の狭間の表面に右肘をついて右掌に顎先を載せ、思いっきり、はぁ、と嘆息をつくボサボサ髪の少年は、上唇と下唇を固く結んだ。


 しばしの間、アニエスの喉元から発せられる含み笑いの音色だけが二人の周囲だけに鳴り響き、風に運ばれていく。

 

 ようやく、頭に飾り布を巻いている少女の笑い声が収まった。 

「笑いがとれて、僕としては光栄の極みです」

 左横にいるロジェから皮肉がたっぷり込められた声色の響き。

「えぇ、そうね。久々に今日は笑わせてもらったわよ」

 と、喋りながらも息継ぎを繰り返しては呼吸を整えていくアニエスは、両眼の端に溜まる涙を指先で拭い去る。

 そして、

「でも、そのモンドって人にいつの間にか祝祭に参加させられる羽目になったって、君は言うけど……、別に参加しなくても良かったんじゃないの?」

 と、左横に顔を向け、疑問を投げかけてみる。

 それは、アニエス自身のちょっとした悪戯心から出た言葉であった。

 何故なら、彼が祝祭に参加を最終的に決断させたのは、私に祭術を見て欲しい、という内容の事をクローデットに聞かれされていたから。

 それでも、どうしてだか分からないけれど、本人の口からその理由を今この瞬間は、聴いてみたい、と思ってしまった。

 だからこそ、

「あんなにも下手な祭術でよく出ようと決心したわね」

 アニエスは、内心で笑みを堪えつつも、駄目押しの内容を喋りだす。

「それは、えっ~~~と、あの……」

 と、落ち着きなく視線を左右上下に動かして、言葉を濁し始める彼の反応を視界に捉えて静観する。

 五秒があっという間に過ぎ去る。

 十秒が経過する。

 十一、十二、十三秒が経った時、意を決した表情に変化させたロジェは、

「貴方に僕の祭術を見せる事の出来る最後の機会だと思ったから……」

 と、断言した。

「それは、どうしてなの? 私は言ったよね。ロジェにとっては違うかもしれないけれど、少なくとも私にとっては、祭術は人を不幸にするものだって……」

「えぇ。その事は十二分に分かってます。それでも、僕は、祭術が決して人を不幸にする為に存在しているじゃないと証明したかったし、それに祭術の事を話している時の貴方の表情が苦しそうだったから……。とにかく、わらってほしかったんです。……それが上手く云ったかどうかは分からないですけど」

 そう語るロジェの声音からは、彼の真摯な想いがひしひしと伝わってくる。

……確かに、私は君の祭術を見て、笑顔になったわよ。

 と思いつつも、そのでも、笑顔になった事実をロジェに告げるのは、恥ずかしい気持ちが先走って、言葉にし難かった。

 だからこそ、ロジェから顔を背けて、

「なんで、そんなにも私にわらってほしいと思ったのよ?」

 クローデットから聞かされても、納得しきれなかった疑問を言葉にしていた。

「貴方にはその表情の方が一番似合ってるから」

「……」

 アニエスの首筋から耳朶にかけて急速に紅潮していく。その様子を目撃していたロジェは、慌てた口調で言う。

「顔が赤いですよ? やっぱり、熱があるんじゃ……」

「熱なんか無いわよ!?」

 アニエスに気圧され、……そうですか、と若干引き気味にロジェは応える。

「と、とにかく!? それなら、別に祭術じゃなくても良かったんじゃないの?」

 と早口で捲くし立て、話題を切り替える。

「そうする事が出来れば良かったのですけど、祭術しか表現する方法を思いつかなかったのです」

「どこまで、不器用なんだか分からないわね。君の場合だと……」

 呆れているのと誉めているのが半分半分の口調で呟いた。

「むぅ……」

 唇を尖らせて唸るロジェの様子を穏やかな眼差しで流し見ていたアニエスは、半身の体勢を取るとのこぎり型の狭間に右肩から身を預けるようにして、寄りかかった。

「私は、ロジェみたいな人をたくさん知ってるつもりでいたけれど、ここまで祭術を拘り続ける人間に出会ったのは、初めてよ。……ねぇ? 君は、これからも祭術に拘り続けるの?」

「そのつもりですよ。それに僕には、祭術でやり続ける意味を新たに見つけてしまいましたから」

 即座に言葉を返したロジェの両眼には、確固たる意志が宿っていた。

……あぁ、そうだったんだ。

 と、ロジェに対して、ずっと、自分が突っかかる態度になっていた理由が何なのか、唐突に閃き、知る事となった。

 ボサボサ髪の少年と出会って、彼が祭術師を目指している人間である事が分かった瞬間から深入りしないようにしようと考えて、他人同士の距離感を保つことに専念していた。

 だけど、その時は如何してだが分からなかったけれど、いつの間にかロジェの姿を視線で追っている自分がいたりして、どうしても意識する羽目になり、常にもやもやとした想いを抱え続けている日々を送っていた訳で、けど、今になって、ようやく、理解する。

 どこまでも己の思いに対して、ひたむきに表わしているロジェの事を羨ましいと感じていたからこそ、ずっと目が離せずにいたのだ、と。

「へぇ? 君が言っていた沸き立つような感覚は、もう良いの?」

 悪戯を思いついた子供のような声音で話すアニエスに、ロジェは、はにかんだ面立ちで鼻の下を人差し指の横腹で一擦りしてから、

「まぁ、あの時の感覚が何だったのかは、ハッキリと分かったからもう良いんだ。それよりも、僕は、昔に見た祭術や祝祭で間近に見た祭術を通して、やっぱり、こう思ったんだ。あんな風に祭術を扱える人になりたいって、思うんだ。だってさ、今も、この瞬間にも、悲しい事や辛い事や嫌な事で身も心もボロボロになっていたとしても、自分の祭術を見て、それで一瞬だけでも良いから、笑ったり、楽しんでくれれば、それでほんの少しだけ、心が温かくなったり、痛みが和らいでくれるかも知れない。それだけの力があるはずなんだ。……祭術には。だからこそ、僕は、祭術を扱う道を進み続けていくよ」

 と、己の想いを吐露してくれているロジェを視覚や聴覚で捉えていたアニエスは、ふと、耳の奥から彼の声とは異なる音の響きが聴こえてくるのを感じた。

 それは、

『祭術が人と人とを結び合わせる架け橋になってくれると信じているからこそ、扱い続けているんだよ』

 と、両親が語ってくれた時の声であった。

 あぁ、という一息が零れた瞬間に、数日前にも似たような事があったのを思い返す。

……また、知らず知らずの内に、祭術の事を語る彼の表情、息遣い、声音からお父さん達の姿を重ね合わせちゃっていたんだ……。

 と、思うと同時に懐かしい感覚が胸の奥底から込み上げてきて、急激に目頭が熱くなりだしていく感覚が訪れた事に、やばい、と咄嗟の判断でボサボサ髪の少年がいない反対側に顔を動かす。

 そして、その瞬間にも瑠璃色の瞳から二筋の涙が流れていく。

 二つの滴が落下していくのを見ないままに、アニエスは、右の甲で素早く左右の頬にある涙の跡を拭き取っていく。

 去来してきた感情によって、今も震えている己の唇から深く息を吐き出す。

 数拍の間を置いてから、今度は肺に新鮮な空気を送り込むと共にロジェがいる方向に振り向き、

「ふふっ……。すでにそれは、ロジェ自身が体験済みって訳だものね。やっぱり、とても熱くて物好きな人間よね」

「それ、どういう意味かな!?」

「どういう意味も何も、そのまんまの意味に決まっているじゃない。……それにしても、仕事の宛てはこれからあるの?」

……何を聞いているんだろう? 私は……。まるで、ロジェと別れるのがまるで寂しいみたいな口調になるなんて……。

 と、呆れ気味に思う。

「いえ、それが何故だか分からないんですけど。この都市の旅団に所属する羽目になりまして……」

「この都市の旅団?」

 訝しげに眉を顰めるアニエスに対して、ロジェは、一度首肯した後に旅団が設立される運びになった事を語り始める。

 ロジェが商業都市に滞在する事となったのを耳にして、無自覚に胸を撫で下ろしながら、今も一生懸命に身振り手振りを交えながら話している彼の姿を見据える。

……結局、忘れるなんて……、私には出来なかった。お母さんやお父さんや他のみんなと一緒にいたあの日々の事を……。だから、私も、君みたいになれるかな? 

 と、心の中で呟き、私はある決意を固めた。

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