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See you my romance.  作者: ちくわ。
番外編
4/4

温かな

あ〜、難しい!というか久しぶりだフルーツカップル。クッソ~、リア充め!いいぞ、もっとや(ry

萃香の父も健在だと知らされてから半年近く過ぎた。年越しまであと数日といったところだ。まあ、その前にクリスマスという異宗教のイベントがあるのだが。

――そうだ、デートだ!デートに誘えば萃香も喜んでくれるだろう。




クソ、久しぶりのデートだというのに!待ち合わせの時間から30分は遅れているぞ。昼ごはんのあとについついウトウトしてしまった。と、いうかガッツリ寝てし

まった。

聖母の萃香様でもこれには雷を落とすであろう。



オロオロしながら公園に入ると――。

あ、いたいた。我が女神さま。女神さまは俺の失態をどこまで許してくれるのだろうか。移動中に気がついたのだが、俺はどうやら遅刻、お金を持ち合わせていない、寝癖がついている、といった三大タブーを犯してしまったのである。

「すまない、萃香・・・・・・。」

あまりにも残念な彼氏ぶりに、顔が上がらない。そんな俺に聖母の萃香様は、

「あ、杏!こっち、こっち~!」

と前と変わらない笑顔を向けてくれたのである。余計、顔を見せられない。


「ごめんな。」

今の俺にはただ、謝ることしかできなかった。




俺たちが向かった先は大型ショッピングモール。

「さあ、杏。ここからは別行動よ。」

え。とうとう嫌われたか?あれ、目から勝手に汁が・・・・・・。

「何泣いているのよ?あ、私と離れて寂しいのね。もう、しょうがないんだから。でもこれはダメ。ちゃんと1時間後には会えるから。」

俺がダラーと水を流している間に話が進んでいる。あ、あの。スイカサン?

「じゃあ1時間後にここの広場でねー!」

そう言い残すと萃香は嵐のように去っていった。



ぽかーんと突っ立っているわけにもいかず、とにかく俺もショッピングを楽しむことにした。ブラブラと歩いているとあるアイデアを思いついた。

――萃香のためにクリスマスプレゼントを買おう。

と、言ったはいいものの20代前半の女の子は何が好きなんだ?しかもお金もないから大したものも買えないし。どうすればいいんだーー!





一方、萃香は――。


うーん、勢いで別行動しようと言ったけど、やっぱり杏がいないと寂しいな。

まあ、でも杏のためだし。なけなしのお金でいいプレゼントを用意するんだから!


宣言から5分後。あらゆる雑貨屋さんを回ったがお目当ての品が見つからない。

どうしようーーーー!




そして、1時間が過ぎた。

俺も萃香もそわそわし、落ち着かない様子だった。萃香のことは後で知ったのだがプレゼントを用意していたかららしい。


「はい、杏!Merry Christmas!」

綺麗にラッピングされた袋を無理やり(と言ったらかわいそうだ)渡してきた。あれ、この袋に入っている店名は・・・・・・。

「これ、開けてもいい?」

「うん、早く開けてみて!」

カサっと音を立て袋が開いた。その中には青色を基調としたチェックのハンカチが入っていた。うん、もしかして。

「あ、あのさ。これ・・・・・・萃香もMerry Christmas.」

この時の俺は茹でダコのようだった。ああ、なんでこういうことをスマートに出来ないんだ。でも、萃香は笑顔を忘れなかった。

「ありがとう、杏!」

この言葉に救われた。



「よーし、開けるぞお。」

萃香はふんーと、鼻息を出した。目をとても輝かせている。

俺のプレゼントにそんな期待しているのか?困ったな・・・・・・。

「あ!これ。」

そう言って萃香がプレゼントを取り出した。

「私たち、気が合うんだね。」            

それもそのはず。俺が彼女にあげたプレゼントは、赤色のチャック柄のハンカチ。お互いのクリスマスプレゼントは色は違うがデザインはお揃いのハンカチだったのだ。



「なんだか杏とは運命を感じちゃうね。」

ふと、彼女の口から漏れた言葉。俺も同感だ。今なら言えるかな、この言葉。

「あの、萃香。」

自然と言葉が震える。深呼吸と一緒におまじないをかける。スマートに、スマートに。俺は2枚目のジェントルメンなんだから。

「なあに、杏?」

萃香の猫のような声。ああ、いちいち可愛いな。とろけてしまうわ。


気を取り直して。


気持ちを落ち着かせようと、すう、と息を吸った。

「萃香、俺たちは出会って日が浅いから俺はお前のことをまだまだ分かりきっていない。でも、これからがある。いっぱい知ることができる。だから、不器用で格好悪いこんな俺とだけど一緒にいてくれませんか?」


俺たちの間に沈黙が流れる。気まずい雰囲気が生まれた。


数刻が経っていた。萃香は口を開けた。

「えっと、杏。ごめんなさい!」

え、えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!

お、俺の一世一代の告白が......。あっけなく、散った。




と、思われた。


「そんなわけ無いでしょ。杏、ありがとう!不束者ふつつかものですが、末永くお願いします。」

うん?今の言葉ってOK貰ったということでいいんだよな?しかも末永くということは将来の伴侶を約束してくれたということ......。

い、いヨッシャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!


俺が心の中でガッツポーズをしていると、幸せのファンファーレなのか、空からチラチラ雪が降ってきた。


「綺麗だね。」

幼い子のように無邪気な姿を見せる。そんな萃香に、

「君の方が綺麗だよ。」

普段の俺じゃあ絶対に言えない言葉を口にする。調子に乗ってきたようだ。

「もう、杏ったら。」

さすがの萃香も照れている。それを見ているとこっちまで。


空気を変えようと、

「よし、そういえば公園でイルミネーションが見られるらしいぞ。いこうよ!」

そう提案してみる。

「うふふ、いいね!いこーう!」

萃香も乗り気だ。心を掴めたかな?


ショッピングモールから公園に向かう俺たちはどちらからともなく手をつなぎ、お互いの温もりを感じあった。                     

(おしまい)   





めちゃくちゃですが書いているときはとっても楽しかったです。

Happy Merry Christmas!

読んでくださりありがとうございました!!


12/31 おっと誤字発見。すみません

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