クリスマス・ガール 12月24日 3
「青葉ちゃん、来たよー」
朗らかな、そしてどこか緊張の色の混じった声が、店内に響く。
「ん、で、メールで言ってたアレは?持って来たの?本当にヤルの?」
メールで言ってたアレ。
なんでも、去年の先輩のお古……サンタクロースのコスチュームがあるんだとか。
「一応……持っては来たけど……」
千鶴はどこかうつむき加減で言う。
「……じゃ、着れば?」
「…………うん」
鞄を持ってどこか元気なさげに、猫背で店のバックホーム兼自宅廊下に向かう。
その扉が閉まるのと同時に店のドアが開く。
「ああ、いらっしゃい、ええと、雪ちゃん」
「こんにちはー、後ろの魑魅魍魎が後輩ちゃんたちですー」
そこには二十人ほどの女学生たちが居た。
「これが噂の青葉先輩ですかー?綺麗なひとー」「そうだねー」
「先輩これ重いー」「ああ、ごめんごめんー」
わいわい、がやがや、こんな団体客、初めてだな。
「とりあえず、中にどうぞ、準備はしてあるし、千鶴も来てるよ」
『はーい』
ぞろぞろと店に入り口々に感想が飛び交う。
そんな中雪が僕に耳打ちをする。
「本当に今日はありがとうございました」
「いや、僕の方こそ、お客さん来ないとやってらんないし……」
自嘲気味に言うと雪はくすくすと笑う。
「千鶴が喜んでくれるといいんですけどんね」
「あの子はこういうドッキリは喜びそうなものだけど……」
未だバックホームから出てこない千鶴を想って、僕らは最後の準備に取り掛かるのだった。




