クリスマス・ガール 12月20日 深夜
「よし……できた」
新しく作ったチラシは学校内で配るものだ、だからやっぱり、若者目線で描いた方がいいだろうと思い、私の考えるamuletの魅力を詰め込んでみた。
扉の開く音を聞き、そちらを向くと雪が戻ってきた。
少し疲れた様子の、しかしなんだか嬉しそうな彼女を見て、ここ最近疲れ気味だったように思えた雪に何があったのか気になってしまう。
「ただいまー」
「おかえり、なんかあったの?」
時刻は十二時すぎだ、門限はあってないようなものだからあまり関係はないのだが、さすがにこんな時間に帰ってきた雪を心配するのは当然だろう。
「ふふ……ちょっとね、あ、明日私青葉さんに会いに行きたいんだけど、お店に居るかな?」
「え?まあ、居るでしょ、青葉ちゃん家だし。何か用事?」
「んー、うん、ちょっとね」
言おうかどうか迷っている、そんな様子だ。
「?」
個人的に青葉と親しくなったのだろうか、なんて考えるが、私はここ最近店に入り浸っているから、雪が来たなら青葉ちゃんから何か言ってくれるだろう、だからそれは無いはずなのだが……。
そして唐突に雪が切り出す。
「あ、千鶴、イブの日のパーティーどうするの?その日もバイト?」
「え……あ!」
すっかり忘れていた。
学生たちが勝手にやっている行事なのだが、毎年ここの女子寮の生徒だけでささやかなクリスマスパーティーを行っている。
ちょうど冬休みに入り帰省する生徒も多いので、一年の節目として行う、ここの寮生にとって一年最後の楽しみだ。
「すっかり忘れてました……」
金欠でそれどころじゃなかったもの……。
「お休み、貰えないの?今年は千鶴がなんかしてくれるんじゃなかった?」
「え……あ……ど、どうかな……」
お休みは……青葉ちゃんに言えば貰えるかな……でも店的には、稼ぐのにいいタイミングなのではないだろうか……。
というか、そうだ、私去年のパーティーで、「私来年は後輩ちゃんたちの為になんか思い出に残ることやる!!!!!!」って宣言してたんだ……。
「後輩の皆、結構楽しみにしてるみたいよ?」
ニヤニヤ笑いながら言う、彼女はきっと私が何も考えてないのをお見通しなのだ。
「……や、やめてよ、プレッシャーだよ……」
「まあ、いつまでたっても何も考えてなさそうだったから、私は考えてきたけどね。」
やっぱり、さすが私といつも一緒にいるだけある。
「是非お力添えを……」
彼女に頼れるならぜひ頼りたい、後輩ちゃんたちを失望させたくはない……。
「ふふ、詳しくは明日ね」
不敵に笑う雪が、すごく頼もしく見えた。




