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クリスマス・ガール 12月20日 昼 青葉視点
今日はいつもの店とは違っていた。
一時間に一度来るか来ないかだったはずの客は店にあふれ、僕の作業を増やした。
「なんてことだ……千鶴……いったい彼女はなにをしたというの……」
無駄に広く、いつ来ても絶対座れるのがこの店の売りなのに。
今日一日だけでおそらく一か月分の接客をしただろう。
そして初めて、団体客の恐ろしさを知った。
あいつら、一気に何品も頼みやがって……。
店主として客に文句をつけるなんて、クズだと言われても仕方ないかもしれないが待ってほしい。
僕を含めてこの店の従業員は現在二人、しかも一人はチラシ配りの最中だ。
そんな中に団体客なんて……いや、賑やかなおばさま達で、自分たちの注文は運ぶのも手伝ってくれたりしたからいい人たちだったんだけど、もう懲り懲りだ。
三時が過ぎてピークが収まったのか、客足は緩やかになった。
祖父の手伝いをさせられていた時は五時台まで続くピークに気を抜けなかったが……。
ため息をつきながらカウンター内の椅子に座る。
もう嫌だ働きたくない……。
そして再び聞こえる鈴の音に、僕は小さく舌打ちして笑顔を作るのだった。




