クリスマス・ガール 12月17日 朝
カーテンを開けて朝の光を浴びる。
部屋はまだ寒く、できるなら布団でまどろんでいたかったが、アルバイト初日の今日は少しだけ、いつもとは気持ちが違う。
しかし……。
「どうしよ……」
私はぽつりと呟いた。
結局昨日、青葉ちゃんに雇ってもらえることになった。
ただし、条件付きで。
「ただでさえお客の少ない店でバイトしても、何の意味もないと思うんだけど」
青葉はそう言って、私をじっと見る。
本来の目的は言わず、「社会経験としてアルバイトしてみたいけど、知らないところで短期バイトするんじゃ、あまり社会の構造が理解できないと思う」なんて、出まかせで言ってみたものの、青葉ちゃんの反応はあまりよろしくなかった。
そうして先ほどのセリフ。
ただでさえご近所づきあいとかしてなさそうな青葉ちゃんならもっともだと思いながら、両手を合わせて頭を下げてみる。
「そこをなんとかお願いっ!!!」
「っ……そんなおっきな声出さなくてもいいよ、聞こえてるから」
頬杖をつきながら何やら考え、そして青葉は言った。
「じゃ、一つ条件つきでなら、いいよ?」
…………はあ。
「雇ってもらえたのはまあ、一応計算通りというか。でも、条件か……」
青葉の出した条件、それは、お客の少ない店で雇えと無茶を言ったのだから当然と言えば当然、やはり無茶なものだった。
「クリスマスまでに、お客さんを百人入れてみせること……ねえ……」
しかも達成できなければお給料はナシ、という、私が赤の他人なら間違いなく法的に対処すべきブラックな条件だった。
なんとも無茶な話だが、自分の要求も無茶苦茶な物なのだから今さら文句も言えない。
深くため息をつきながら、どうにかしなければと策を練る。
そうして私のアルバイト初日は幕を開けたのだった。




