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クリスマス・ガール 12月15日夜
「うーん……」
携帯で求人情報を探しながら唸ってみる。
「千鶴、さっきから何なの?」
同室の少女、佐伯 雪はいつも三つ編みにしている黒髪を解いて、入浴の準備をしていた。
「んー……日雇いでも雇ってくれるアルバイトとか、さがしてたんだよー」
ベッドに倒れこみながら、気の抜けた声で答える。
「なんでまた急にアルバイトなんか……」
雪は呆れたように言う。
「金欠なんだよー」
千鶴は脱力しきった様子で答える。
ふうとため息をつき、雪は思索する。
きっとまた、何か思いつきで動いているだけなのだろうが、千鶴のためならなんとかしてあげたい。
そうして数秒の思考の後、一人の女性の姿が脳裏に浮かぶ。
「青葉さんって、喫茶店やってたんじゃ?」
「そーだよー」
雪が問うと、千鶴はめんどくさそうに答える。
ああ、この子は本当にもう……。
「じゃあ、青葉さんのとこで雇ってもらえば?」
「……んー」
気乗りしない様子で答える千鶴と、その理由がわからない雪。
二人の間に沈黙が流れた後、千鶴はけだるそうにベッドから起き上がる。
「……一応、聞いてみようかな」
「そう、じゃあ私お風呂入ってくるね」
「あ、まってよー私もー!」
店主を差し置いて勝手に話が進んでゆく。
千鶴の中では、もう青葉の店で働くことは、既定事項のようだった。




