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喫茶『Amulet』の日常  作者: 桐沢 綾
第二章
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2-19  不安なままの

目を覚ますと、見知らぬ清潔な部屋のベッドの上だった。


腕に刺さった管はどうやら点滴のようで、そこでやっと状況を把握できた。


「病院っぽいな……」


服も明るい緑の……なんて言うのかなこれ、和服みたいに着る、患者用の寝巻?で、個室だったからわからなかったが、備え付けのテレビや冷蔵庫、ベッドの固いマットレスは、そこが病室であることを印象づけるには十分だ。


「ええと、こういう場合はナースコールかな……」


いろいろとわからないことだらけだ、あの後どうなったのか、雅さんと楓ちゃんはどうなったのか、そして僕は今後どうなるのか。


……もしかしなくても、立派な人殺しだものね…………。


意を決してナースコールを押してみる。


スピーカーのような部分から、人の声がした。


「あ、起きました?」


明るい声に少しホッとする。


「ええ、あの、僕はどうすれば……?」


「今、先生を連れてそちらに行くので、待っていてくれればいいですよー」


「は、はあ……」


ブチッと切ない音が、再び室内に静寂をもたらす。


明るい室内は僕の気持ちなんてお構いなしに、清潔で穢れを知らない。


「はあ……」


先行き、不安だなあ……。


ガラリと扉の開く音にドキッとする。


白衣を纏った眼鏡の女性と、看護師の服装をした女性が入ってくる。


「気分はどうかしら?」


白衣の女性が尋ねる。


「ええ、先行き不安ではありますね」


自嘲気味に言うと、彼女はクスッと笑った。


「そうそう、今日はもう帰ったけど、明日また警察の人が来るらしいから、事情はこちらも把握しているつもりなので、とりあえずゆっくり休んでね」


「は、はあ……」


どの程度把握しているのでしょうか、とは聞けず、もやもやした気分のまま血圧を測られたりして、彼女たちは去って行った。


「…………しまった」


彼女たちに聞けばよかった、なんて当たり前のことを思いつく。


時すでに遅し、気怠い体から力を抜いて、僕は再び眠りについた。



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