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喫茶『Amulet』の日常  作者: 桐沢 綾
第二章
27/50

2-17 準備

「よ……っと」


胸に深く刺さった得物を引き抜きながら立ち上がる。


緑の狐火で傷口を炙りながら、状況を観察する。


男はこちらを見たままぽかんと口を開けて硬直している、まあ無理もないだろう。


「これは使うかねえ……」


独り言ちながら得物を床に放る。


それがカランと乾いた音を立てたるのと同時に、私は男に飛びかかった。


鋭く尖る爪で、腹部を抉り取る。


ぶちぶちと肉の裂ける音が、彼が人間なのだと実感させる。


こんなにも新鮮な体を裂くのは、本当、何百年かぶりだ。


「どうしたの?もっと楽しませてくれていいんだよ?」


けらけらと笑いながら、握った肉片を灰にする。


おそらく声も出ないのだろう、男は戦意を失ったとでも言うような顔をして、こちらを見ている。


私に対峙した人間は、大きく分けて二通りの反応を示す。


恐怖で逃げるもの。


自分の実力を知ってか知らずか、立ち向かって来るもの。


そして最終的にそのどちらも、結局は戦意を失って、恐怖に怯えるのだ。


これじゃあ私が悪者みたいだ。


最初に襲ってきたのはそっちだというのに。


「和菓子屋、私が倒れてた間にケガとかしてない?」


突然の出来事に驚いていたのだろう、茫然としていた和菓子屋に声掛けする。


「え、ええ……」


「そ?ならいいや、ごめん、ちょっと眠っててね」


そう言って私は白い狐火を出す。


一瞬強く光ったそれは、次の瞬間には消滅して、網膜に影を落とす。


和菓子屋が眠ったのを確認し、私は依代に体を引き渡した。



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