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喫茶『Amulet』の日常  作者: 桐沢 綾
第二章
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2-12 断ち切れない想いに終止符を

暗く湿った部屋で、彼は儀式の準備に入る。


床に掘られた魔法陣に、被害者たちから集めた血液を流し込む。


魔法陣が血液で満たされると、要所に設置された蝋燭に火を灯しながら、彼は長年の願いの成就を目前にして、武者震いを隠せない。


「やっと君に会える……」


彼の購入した家の地下室は、コンクリート張りの無機質なもので、家具も一切置かれていない殺風景な空間だ。


冬でも蒸し暑く、不快極まりないものだったそこで、彼は長年の想いに終止符を打つ。


作業を進めるにつれて、流れる汗の量は増え続ける。


だが彼は一心不乱に、自宅に置いた業務用の大型冷蔵庫と地下室を往復する。


魔法陣の中央に、人の形に並べられたそれは、巷で話題の女性連続殺人事件の被害者たちの体を繋ぎ合わせたものだった。


冷凍保存された遺体は、凍傷状態になっており、皮膚が赤く変色しきっている。


外科医である彼にとって、解剖学の知識はもちろん、遺体の縫合はお手の物だったが、これは予想外だった。








正臣(まさおみ)と言うのが、彼の想い人、そして、彼が医者となる決意をするきっかけとなった人物だ。


幼馴染と交わした会話で、詳しく覚えていないが、何故だか正臣がきっかけとなったことは覚えている。


人を生かす為に手に入れた技術で、人を蘇生する。


魔術や呪術関連の書籍も漁り、一時は怪しいカルト宗教にまでのめりこんだ工藤だったが、そこで得たヒントは今、まさしく活きている。


人の倫理から外れたこの行動、間違いなく誰にも許されることではない。


それでも、彼は想い人への想いを断ち切れないのだ。


最後の生贄を運び込むだけで、この想いに終止符が打てる。


そんなことを思いながら、彼は三人の人間を地下室へ運び込んだ。



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