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喫茶『Amulet』の日常  作者: 桐沢 綾
第二章
19/50

2-10 徒労に終わるのも悪くない

結果から話すと、一時間以上歩き回ってもまったくの無駄足だった。


いくら近所で起こったこととは言え、ニュースの中で見た現場の映像だけでは、場所も特定できなかったし、パトカーがたくさん停まっているところを探すなんて考えも、自分の足で探してみると、すぐに無茶だと分かった。


「それにしても……」


本当に"アレ"絡みかもわからない。


得体の知れない相手で、尚且つ、もしかしたらそれは人間かもしれない。


そんな不確かな物を相手にして、今回の事件を個人的に調べてみて、意識こそしていなかったものの、以前とはまったく違う何かが、ずっと僕の中で引っかかっていた。


「こんな面倒事、自分から首を突っ込むような真似、したくなかった筈なのにね……」


いつもそうだ。


千鶴が何か抱え込んできた時も。


自分が巻き込まれてしまった時も。


偶然の巡り会わせだったとしても。


どんな時も"アレ"絡みの時は、ずっと『嫌々ながら』といった態度をとってきていたし、きっとこれからもそうなのだろう。


でも今回はどうだろう。


事件の話を聞いたのはニュースを見て。


それが妖怪の仕業かもハッキリしない。


それなのに、親しい人だけでも、せめて無事であってほしいなんて、お守りまで渡してしまって。


これではまるで、自分から虎口に飛び込んでいるようなものではないか。


「本当、我が事ながら呆れてしまうね……」


腕時計に目をやると、時刻は二時前。


今から歩けば、小学校につくころにはちょうど下校時間だろうか。


鉛色の空を眺めながら、秋風に吹かれる。


捜査は徒労に終わったが、誰かの為に無駄足を踏むのも案外悪くないかもしれない。


柄にもなく、そんなことを思った。

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