2-10 徒労に終わるのも悪くない
結果から話すと、一時間以上歩き回ってもまったくの無駄足だった。
いくら近所で起こったこととは言え、ニュースの中で見た現場の映像だけでは、場所も特定できなかったし、パトカーがたくさん停まっているところを探すなんて考えも、自分の足で探してみると、すぐに無茶だと分かった。
「それにしても……」
本当に"アレ"絡みかもわからない。
得体の知れない相手で、尚且つ、もしかしたらそれは人間かもしれない。
そんな不確かな物を相手にして、今回の事件を個人的に調べてみて、意識こそしていなかったものの、以前とはまったく違う何かが、ずっと僕の中で引っかかっていた。
「こんな面倒事、自分から首を突っ込むような真似、したくなかった筈なのにね……」
いつもそうだ。
千鶴が何か抱え込んできた時も。
自分が巻き込まれてしまった時も。
偶然の巡り会わせだったとしても。
どんな時も"アレ"絡みの時は、ずっと『嫌々ながら』といった態度をとってきていたし、きっとこれからもそうなのだろう。
でも今回はどうだろう。
事件の話を聞いたのはニュースを見て。
それが妖怪の仕業かもハッキリしない。
それなのに、親しい人だけでも、せめて無事であってほしいなんて、お守りまで渡してしまって。
これではまるで、自分から虎口に飛び込んでいるようなものではないか。
「本当、我が事ながら呆れてしまうね……」
腕時計に目をやると、時刻は二時前。
今から歩けば、小学校につくころにはちょうど下校時間だろうか。
鉛色の空を眺めながら、秋風に吹かれる。
捜査は徒労に終わったが、誰かの為に無駄足を踏むのも案外悪くないかもしれない。
柄にもなく、そんなことを思った。




