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喫茶『Amulet』の日常  作者: 桐沢 綾
第二章
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2-6 せめて周りの人だけは

ニュースの内容は、どうやら新しい被害者が出たようで、警察への非難をする街の声、世間の人々の不安感などをインタビュー形式で放送していた。


うーん、こうまで続くのは、やっぱり"アレ"絡みなのかな……。今日は店でちょっと調べてみようかな……。


「青葉ちゃーん、運ぶの手伝ってよー」


どうやらできたようだ、思考を切り替えてテレビのスイッチを切る。


朝は明るい気分でいたいし、千鶴にも明るい気分でいてもらいたい。


寝室のものとは別に置いてあるオーディオ機器のラジオ機能のスイッチを入れ、キッチンへ向かう。


「あれ、テレビ切っちゃったの?」


「うん、見たいテレビとかあった?それならラジオ切るよ?」


「うーん、あの事件の続報とかあれば見たいんだけどなぁ……」


…………。


「新しい被害者が出たらしいけど」


「え、また!!?」


昨日は"アレ"が絡まない、と思うと僕が言ったのに納得して、勝手にこれ以上の事件は起こらないとでも思っていたかのような驚き。


そんな千鶴をよそに、つぎつぎと料理を運んでゆく。


二人でソファーに座り、食べ始める。


「一応、新しい被害者はこの地域で出たらしいから、まあその、気を付けてね。いただきます」


「召し上がれ。私もいただきます。っていや襲われるときは襲われるでしょ、無茶言わないでよ」


ご飯を食べながら、さも当然といったように反論された。


「いやあの、ほら、夜遅くに出歩かないようにしたりとか……」


「昨日遅くまで店番させてた青葉ちゃんが言うんだ?」


意地悪い笑みを浮かべて言う千鶴だが、まったくもって正論だ。


「まあ、またそんなことがあれば送っていくし、また昨日みたいに泊まっていけばいいじゃない」


話をそらしてみる。


確かに配慮は足りてなかった。心がけくらいはしておいた方がよさそうだ。


「ああ、ちょっと用事あるから、今日は送っていくよ」


唐突に思いついた。


「え、青葉ちゃんどこ行くの?」


「んー?ちょっとおまじないをしに」


「ふーん?」


釈然としないといった表情だ。


「千鶴にもしてあげるよ」


せめて僕の周りに居る人は、何か予防線を張れるなら張っておきたい。


「ふう、ご馳走様。私もうそろそろ行くから、送ってくれるなら早く食べちゃってよ、青葉ちゃん」


「しまった」


千鶴との会話に夢中になって、すっかり箸が止まっていた。


黙々と口に掻き込む。


「青葉ちゃん、男の人の前でそんな食べ方してたら結婚できないよ……」


呆れた様子の千鶴を無視し、黙々と掻き込む、掻き込む。


…………。


「べべべべつに結婚とかしないし」


味噌汁を一気に飲み干し、手を合わせる。


「ご馳走様でした。さて行こうか千鶴」


そうして事件の一日は始まった。

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