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喫茶『Amulet』の日常  作者: 桐沢 綾
第二章
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2-5  幸せな朝

ベッドのふかふかの布団が気持ちいい、僕の体の熱が移った布団は程よく温まって、まだ冷め切っていない僕の意識を再び眠りに誘おうとする。


一人で占領するには大きすぎるクイーンサイズのベッドには、昨日の夜だけ共有する相手がいた。


彼女がベッドに居ないことをまどろみの中で認識すると、ああもう学校に行ったのかななんて考える。


簡単な朝食くらいなら作ってあげようと思ったのに……。


部屋の隅に置かれた大きな箪笥の上には、写真立てやオーディオ機器が置いてある。


その中の一つであるデジタル時計を見ると、無機質な青い光で構成された文字がAM七時を示していた。


……起きるにはちょうどいい時間だな。


僕はこの暖かな布団の誘惑を断ち切り、寝室を出て居間に設置された個人用のキッチンへ向かった。


扉を開けるとセーラー服に身を包んだ少女、昨日の夜ベッドを共有した赤沢千鶴がダイニングキッチンで何やら作業していた。


「おはよ……」


自分でも呆れるほどに眠そうな声が発せられる。


その声に微笑みながら、まだ寝ててもよかったのになんて言ってくる。


「もう少しでできるから。あ、冷蔵庫の中のもの、勝手に使っちゃったけど、いいよね?」


勝手知ったる人の家とはよく言ったものだ、朝起きて誰かが僕の為に朝食を作ってくれているなんて何年振りだろう。


「うん、構わないけど、ご飯、炊き込みごはんとかじゃないなら卵かけごはんがいいな」


「朝の忙しい時間にそんな凝ったもんつくるわけないじゃない……」


ソファーに寝ころび、キッチンから伺える千鶴の様子を観察してみる。


セーラー服に茶髪の髪、料理している彼女のまなざしは真剣で、しかしどこか幸せそうで……。


……制服姿の18歳の女子高生が僕の為に朝食を作ってくれているなんて……しかも昨日は子持ちの人妻の手料理……。


生きていてよかった、幸せです神様!


まあ、女同士だから何もないんだけどね。


朝からいいものが見れた、今日はきっといい1日になる。


そんなアホなことを考えながらテレビをつけると、連続女性殺人事件のニュースが流れていた。

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