006
俺の名前は、と言おうとした瞬間俺の唇に指を重ね
「言わなくてもいいよ、シグル君」
「な、何で俺の名前を」
「いや、さっき私があなたの名前を呼んだからですよ」
確かにこの人が居る時に呼ばれたな。
「私はシーニャです、よろしく」
「よろしくね、シーニャん」
シーニャんって!?
「いいでしょシーニャん、かわいいでしょ」
「ま、まあ、いいけど別に」
「そうそう、あたしの歳は十五、君達と同じくらいでしょ」
十五って俺たちと同じかよ、そのおっぱいでそれはないだろ。
「今、シグル君『そのおっぱいで十五歳は無いだろう』とか思ったでしょ」
何故分かった。超能力者か、この人。
「揉みたい? やっぱり揉みたいよねぇ? あたしの足舐めたら揉ませてア・ゲ・ル」
「まじっすか!」
「あんた、死にたい?」
滅相も御座いません。
すぐに土下座。
「と言うかエレンさん、こんなのにそんなこと言ったら本気にしますよ。と言うかあなたも変態ですか」
「ああ、冗談だから気にしないで」
「冗談だったんすか」
そういえば、ほっぺたを膨らませたエレンが不機嫌そうに「痴女はないでしょ」とか言っている。
「いや、そこまで言ってませんから。と言うか、その胸偽者ですよね。十五でその大きさは無いでしょう」
「じゃあ、付いて来な」
そう言いながらエレンは立ち上がり部屋を出ようとする。
「あ、勿論シグル君は付いてきちゃダメだぞ」
まあ、そうだろうと思ってましたよ。
※
「で、如何するんですか」
全くエレンさんは何を考えているのか。私の部屋に移動して(ちなみにさっきはリビングだった)。
「シーニャんさ、シグル君のこと好きでしょ」
「な、何言い出すんですか急に」
嘘! 顔に出てた? さっきからシグルのことちらちら見てたことばれてる!?
「見てたら分かるよ。ま、シグル君は鈍感らしいから気づいて無いみたいだけど。言っちゃいなよ、『好きです』って。それとももう、肉体的な関係になっちゃってるわけ」
「そ、そんなこと言えるわけ……って、今私好きって認めちゃったよね」
うん、エレンさんのドヤ顔、ウゼェ。
「実はあたしあなた達のこと見てたのよね」
えっ!
「それはそれはお楽しみでしたね!」
バサッ! エレンさんが急に私のロングスカート(切ったので今はミニスカート)の中をのぞいてくる。
「ほう、随分冒険したね」
「ちょ、何してるんですか!」
「黒のレースか、あれでしょ。『今日、大人の階段上っちゃう~!?』とか思ったでしょ」
なんですかこの人は、超能力者ですか。なに人の考えてたこと当てるんですか。それもピンポイントに。
「こっちの方はどうなんだろうな」
「え、こっちの方って!?」
服をつかまれた、ちょっと待って、こっちの方って!
「はい、ちぇーっく!」
「ちょ、ちょ、ちょっとー!」
何この人意外と力強! 人って見かけによらないっ!
「おう、何ときれいなツインマウンテン」
見られた、見られてしまった。本当に女か分からないのに。そう考えながらもめくられたTシャツを着なおした。
「本当に女だよ。シーニャんの右斜め前の席にあたしいるじゃん」
え、マジで!? そういうことは
「えりん!?」
「そう。えりん!」
まさかエレンがえりんだったとは、確かにえりんも名前エレンだったけど。エレンは私のクラスメイトだ。確かに顔は同じだ、髪の毛がピンク色だったのでエレンかどうか分からなかった。
「と、言うかさ、えりん何で私が考えてること分かるの?」
えっへん
「これでもあたし、GMだったからね。あたしのIDを持つ人だけプレーヤーの心が読めるようになってるの」
ずるいよ~そんなの。
「えへへ、いいでしょ」