003
あれ? 「ちょっと待てよ、回復できる職業じゃないよね。二人とも」
ついそんなことを言ってしまった。
そうか、シーニャはつぶやくと
「アイテムでも探しに行くかショッピングモールに」
そんなこんなで一度俺達はショッピングモールに引き返した。
「ここは、俺達の世界にもあるショッピングモールだからたぶん……」
そう言いながらも念のためマップを見て見る。
「ほら、特に行くところ無かった」
結局行くところが無かったのでぶらぶらすることにした。
「あれ、コレってアイテムなんだ」
シーニャはそう言いながらついこの間新発売されたペットボトルのオレンジジュースを手に取った。
「何言ってんだよ、そんなのがアイテムなわけ……」
そう言いながら俺も同じ商品を手にとって見てみる。
「ね、アイテムでしょ」
「ホントだ」
驚くことにオレンジジュースの上にはタブが現れ名前と必要金額が書いてある、金額の所には《円》と書かれており、下には詳細と書かれている。
「すごいけど、なんだろこの詳細って」
「気になるんなら押してみたら」
「いや、こういうのは押したらだめなんだよ」
「いや、押さなかったら何も始まらないから」
ですよね。
仕方ないので押してみると、普通のペットボトルのオレンジジュースに書かれているような情報のほかに、《勇者の方々が使用した場合の50ml辺りのHP回復量》と、書かれていた。
「どういうことだ? この世界では、こういったジュースとかが回復ポーションの役割になっるってことか?」
「そう、なるんじゃないかしら」
だよね。でも何? 『勇者の方々』って。
「話し変わるけどさ、ここってゲームの中だよね?」
「ゲーム進行率とか書いてあるから、ゲームの中だと思うよ」
ずっと疑問になってたんだよな。そう、独り言のように言い。「何で容姿とか服とか現実の世界のままなんだ?」
「た……確かに」そう言いながら俺の身体を見回した。
「何故俺を見た、自分を見ろ、自分を」
そう言うと何かに気づいたか。上半身を見回した。
「確かに……あの時、おっぱいのサイズは大きくしておいたのに…………」
「え、なんだって?」
「な、何も言ってない!」
そうですか。
「でも変ね、私の知っているRPGの世界に入り込むものはアバターの姿になってたけど」
そこは同意
「大体そうだよな、勇者の装備がユニクロってなんだか悲しいよな」
「あんたのその服ユニクロだったんだ」
「おう、靴以外オールユニクロだぜ!」
「まあ、そんなことより、武器よね。いや、その前にお金か」
軽くスルーされたんですけど。
でも、シーニャはいいよね。かわいい格好していてさ。
俺はユニクロでも、シーニャは緑色チェックのロングスカートに上は夏場でも涼しいように半袖Tシャツ、色は薄い緑(黄緑って言うのかな)。
はあ、俺はユニクロかよ。まあ、そんな事思ったらユニクロ関係の人全員に失礼だよな。後で土下座しとこ。
「如何したのよ、そんなとこに突っ立って」
「いやさ、ロングスカートって戦闘に不向きじゃない? 俺が切ってやろうかなぁ。って思ってさ」
「いいわよ、自分で切るから」
「いいよ、俺が切るから。と言うか切らせてください」
「はぁ、変態! それ以前に切るものあるの!?」
確かハサミが……そんなこと言いながらバッグに入れて置いたハサミを探してみる。
「あった、ほら」
「ちょっと待って、何でハサミが!? と言うか武器になるんじゃない?」
「おっ! ナイスアイディア」見てみる。
アイテム名:ハサミ
攻撃力:+8
素早さ:+2
装備職業:すべて
「一応、武器になるんだね。ハサミでも」
「そうね」
百均のハサミだけどね。
「まあ、そんなことはいいから。切っちゃおうか」
「切らせない、ダメ、絶対!」
「大丈夫、変なことしないから」
そう、俺は変なことはしない「ただ、切っている最中に何かが起きるかもしれない」
「絶対ダメー!!」