018
「なーんちゃって! 刃が引っ込むタイプの短剣でした。刺したと思った? 刺していないのでした」
俺たちが驚いたのはそんなところじゃなかった。確かに彼女はチホは短剣の刃の部分を押して引っ込むのを見せてくるのだが、はっきり言ってそんなのはどうでもいいのだ。
チホの顔が変化している。『変化している』と言う表現は間違っているかもしれない、変化と言うよりかは、元の状態に戻っている(元の状態がどういったものだったかはこの後わかったことなのだが)。この場合は変態している変態のほうがいいのだろうか。
「チホの顔が……」レイヴはしばらく絶句したままであった。瞬きさえしていない。下手したら呼吸すらしていないのでは。このときだけは、たった十秒ほどであるだろうことが、一分、いや五分くらいに感じられた。それほど長い間静寂が支配していた。
つい、二、三十秒ほど前までは、まだ若干幼さの残る顔立ちをしていたのだが、今はその面影は残らずとても凛とした顔立ちに成ってしまっている。しかも、先ほどまではレイヴよりも身長が小さかったのだが、変態した事によりレイヴよりも高くなっている。
「ああ、これ? 私のスキルでーす」
「つまり、チホさんは自身の《魔術師》のスキルを使い。レイヴちゃんより小さい女の子に人体を変態させたのね?」
俺たちは今、俺たちの家、もといい、俺たちのギルド本部へと移り、話をしている。もちろん、身長140センチメートルの巨乳少女から、身長170センチメートル弱となり日焼け肌の色っぽい巨乳の女性に変化したことについて話している。
「そうです、ええ、そうです。私は自身のスキルを悪用し、まだエッチの『エ』の字も知らないようなか弱い少女に性的暴行を「チホちゃん(?)ちょっと黙っといて」「サーセン」
驚いたことに変態する前は友達思いのやさしい少女だったのに、今はその面影が完璧に消え去っている。はっきり言って、エロい。今の彼女の格好は、なんと言うか上はワイシャツのみ、下はスーツのパンツをはいている。そして、見えそうで見えない(あえて何がとは言わないが)。
「さて、何の話だっけ? ああ、私の武勇伝か。一日のうちに何人の男とやったか、ってな感じだったっけ」もう、いい加減にしてほしい。黙って聞いてりゃレイヴに悪影響を与えそうな話ばかり。
「何故こんなことをしたのかと言う話だ、そこのビッチ、いい加減何故か話したまえ。それとも、俺たちに殺されたいのか?」チャカモトはそう言いながらめがねの位置を正した。
「意外と怖い事を言うねぇ、赤のめがねのニィニィ。それともS気を漂わせながらも実は根はMとかとか。」
「良いから俺の質問に答えろ」
「しょうがないなー」




