017
「さて、殺やろうか。ベリアルさん」
『まったく、面倒な役を、めんどくっせぇ」
「ちょっと、ベリアルさんあんた一応天使だったんでしょう? その言葉使いどうなんですかね」
そういうと俺は真っ黒い衣服と仮面には似合わない純白の羽を、ニギニギした。
『死にたいのか、お前は」
まあ、そんな話している暇はないか、彼女達も待ちくたびれているでしょうからね。
「お前らに、見せてやろう。ラピュッタの雷を」
『ラピュタな」
噛んだだけだい、緊張してるだけだい。やっちゃっていいのかな。マジでやっちゃうよ。
「ベリアルいくぞ」
『はいはい、追加料金ね」
「ベリアル、ウェェェポンモーデュ!!」
ベリアルの形状が変化して、仮面のみが残る。仮面から白い髪の毛が出てくる。
そして、それが、俺の顔に装着される。
「さーて、俺のスキルポイントは残り二桁、おかけで他の悪魔は召喚できないし、いくらライフがマックスだからといって。こんなんじゃ魔法少女一人すら、葬ることできねえ、だろうな」
『全く、口の減らない男だな」
「いいさ」
俺は着実に、勝利への一歩を踏み出していく。
そうさ、もう。俺は勝ったも同然。
そう思ったのもつかの間。
「氷の攻撃魔法」
ぐお、いってぇー。射程範囲広すぎ、俺からあいつまでドンだけ離れてるよ、ざっと二~三十メーターだべ。
せめて、もちょっと近くに行かんきゃ。
そう思い俺は前に進もうと思ったが、
「あ、足が凍っている。貴様等、やりやがったな」
『まぐれ、だけど。追加で氷効果が及ぶなんて。ラッキーだったね』
「今がチャンス」そう言い少女は俺に近づ……
「氷の攻撃魔法!!」
容赦ねえ、零距離からの魔法攻撃とは。
だが、
「うそ、効いてない」
「ジャジャーン、これがこのベリアルの仮面の効果で~す。相手の魔法攻撃を90%の確立で自分に及ぶダメージ、効果を無効化。その後」
相手に「反射する」
「きゃっ!」
『レイヴ!』
流石にこの予想をしていなかったんだろうな、反射なんて強力な効果目にするのは初めてだろう。
さあて、そろそろ飽きてきた。
終わらせるか。
「仮面の旋風!!」
そう発すると仮面の表面がエメラルドグリーン色に光、相手に向かって解き放たれた。
『レイヴ、早く避けて!』
「無理、足が凍って」
YOU,WIN
自分の目の前にその六文字が映し出され壊れていた建物が再生する。
「結構、疲れたな。相手が戦ったこともない職業だったから」
手を少女に差し出す、零距離からの攻撃だ、流石に立てないだろう。
「ありがとう御座います。私の負けです、出すぎたことをしてしまいました。申し訳ありません」
少女は深々と頭を下げたが俺はどういう反応をすればいいのだろう。
「い、いいって、いいって。ほら頭上げて」
「で、ですが」申し訳なさそうにこっちを見てくる、その表情が、すごくかわいい。
「ほら、友達のとこ、行ってきな」
「本当にすみませんでした」
最後にペコりを軽く頭を下げ友人のほうに走っていく。
「よう、お前ら、待たせたな。やっと終わ「ああぁ、そんな、なんでチホじゃ……
「シグル、後ろ」
んだよ、一体。
俺の後ろには驚くべき光景が、少女のレイヴの友人が、友人であるはずのチホが、レイヴの身体を剣で一突きしていた。




