001
《ケネディドワード・リンク》これは七月十一日に発売された十二歳以上対象のRPGだ。
この世界では。異世界から魔王サタン率いる軍が侵略に地球にやってきた。
日本は東京都以外がほぼ侵略されていた。魔王軍は東京を恐れていた(何故は分からないが)。俺たちは解放軍となり、魔王を倒さなくてはならない。
俺はこのゲームの終わりは魔王討伐だと思っている。
『「キャー」
「に、逃げろー!」
今、人類は魔界のから現れた魔王の軍に侵略されていた。
《ケネディドワード・リンク》いよいよ発売』
「いよいよ今日発売だな」
※
始めに言っておく、これは夢だ。
どう考えてもこれは夢だ。
「さて、どういうことなのかな、これは」
「私に訊くな」
いつも通りの冷たい表情で答えてくる。
「そうだよね、わかんないよね」
普通そうだよね。
「取説とかないかな?」
「一様バッグがある、中にパッケージ入れてたはずだから。中には入っていると思う」
「何でバッグがそのまんまあるの?」
当然なことを訊いてみる。何故こんなとこにゲームのパッケージがそのままあるのか(in bag)。
「私も分からないけどさ、現にバッグがそのまんまあるんだし。たぶん中身もそのまんまでしょ」
そう言うといつも持っているくすんだ赤色のバックを見せてきた。確かにバックにはついさっき一緒に買った《ケネディドワード・リンク》のパッケージが入っている。
「ホントだ、入ってる」
「あんたの持ってたカバンは?」
ああ、そういや俺もバッグ持ってたな。一様見てみる、さっきと変わらない中身が。ちゃんと中にはゲームが入っている。
「まあ、ちゃんと入ってるな」
「な、入ってるだろ」安心だ、そんな風に俺に笑顔を見せてくる。そんな笑顔されてもこの状況では何の意味もないのだが。
「入ってるのはいいけど、ここどこだよ」
「私達のすんでるとこ。さっきゲームショップで買って私の家でゲーム立ち上げたよね」
それは分かっています。十二分に分かっています。
「じゃあ、あの目の前に広がる、モンスターの軍団は何?」
「コスプレ、とか?」
どう見ても、コスプレじゃないよね。
※
俺達二人は今日発売された《ケネディドワード・リンク》というゲームを買ってそれを立ち上げ、キャラクター設定をし、物語が始まる、そんなところで記憶は途切れている。きっとそこでこの世界に入り込んだのだろう。
今いる場所は俺達の住んでいる所だ。見たところ近くのショッピングモールかな。そこから見える景色は、目を疑うものだった。なにせ、トカゲと人間が入り混じったような。生き物がいる、RPGなどでよく見るリザーマンのだろうか。盾と剣を持っている。物騒だな。
「これって今日発売されたケネリンのゲームの中だよね」
「どうしてそう思うのよ」
「前、雑誌でこれと同じようなモンスターが出るって書いてるの見たから」
「ふーん」
そう考えるのはおかしいのだろうか。おかしいだろうな。だって現実には考えられないからだ。ゲームの中に入り込むなんて、そんな話聞いたことない。せいぜいアニメやマンガの中の話だ。
そんなことを考えていると急に空が暗くなった。