013
しかし、魔法少女か驚きだね、驚きだよ。そんな職業あったっけな? ってか、なんかいつの間にかシーニャたち来てるし、ホワット!?
「魔法少女さんあなたはそのダイアとか言う生物に何をお願いしたのかな? 僕と契約して魔法少女になってよ、ってか!?」
「なに言ってるんですか、プリーストさん」
「やっぱわかんないか、こんな2010年代のネタ。それより、君まだ俺のことプリーストだなって思ってんの? 片腹痛いよ」
とか言って挑発してみた、だけどレイヴの方は冷静、怒んないの?
「シグル、やっちゃって良いよ、その糞ビッチ!」
そう言いながらシーニャは屋上の壁をぶん殴っている。
「わお、怒ってるの? シーニャん」
相変わらずエレンのほうはのんきだ。ジュース片手にポップコーンを食べている。
「のんきだな戦わない人は」
「良いからさっさとやっちゃってよ、そんな女」
此処からは何言ってるのかわからないけど、この戦いを速く終わらせなくてはならない、それがわかった。
だが、相手ははじめて見る職業《魔法少女》だ、いや、職業が魔法少女とまだ決まったわけではない。もしかしたらただの魔法系統の職業なのかもしれない。
「どうしたんですか、早くかかってかかって来てくださいよ。待ってあげますよこのD・T」
「何!? D・Tだと!? イラつく言葉を言ってくれるぜ。なんだったけな、俺が小学生のころ見たドラマで確か……」
「何ぶつぶつ言ってるんですか」
何だったっけ? あの台詞。当時流行したよな。だめだ、思い出せない。
「いい加減ぶっ倒しますよ?」
「そうだな、いい加減はじめないと」
そう、俺らは戦いの途中だ、さっさと始めないとな。
「待って、レイヴちゃん、戦わないで」
「無理よ、チホ。この戦いは、私とこの男の……魂と魂のぶつかり合いなのだから」
「今までそんなムードじゃ無かったよ」
「ごめんなさいね、戦いを始めましょうか」
そういいながらレイヴは俺に向かって走りかかってきた。おいおい、魔法少女なのに物理のつもりか?
そう思っていたのもつかの間、俺の右肩に激しい電流が、
「雷の魔法、どう? 聞いたでしょう?」
そう言いながら俺に向かって微笑んできた。
だが、それが好機ゼロ距離ならば……俺の一撃が、当たる! この距離なら、俺はそう思い右手に持っていた分厚い書物でレイヴの腹部に攻撃を仕掛ける。
『よけろレイヴ!』
刹那、ステッキから甲高い声が。
俺の攻撃は紙一重でよけられ書物は空を切った。
「この変体がぁ、余計なことをしやがって」
「ありがとうダイア」
『例には及ばんよ、レイヴ』
クソッ、どうなってやがる。予知能力か?
どうやら、本気を出さねばならぬようだな。
「おい、レイヴ。見せてやるぜ俺の本気を」
そういいながら、俺は手に持っている書物を開いた。
『気をつけろ、レイヴ! すごい、魔道エネルギーだ』
「何ですって!?」
さあ、来いよ、出番だぜ。
「お前たちは、俺がもっているこれを聖書かなんかと思ったんだろ? 残念ながらそれは違う。
これは、レア度最大級星九つの装備アイテム。
《禁術の72グリモワール》だ!」
そういいながら俺はこの世のものとは思えないような単語を言い、最後にこう言った。
「来いよ、アスタロト!」




